さすらい農場

13Fのさすらい農場のレビュー・感想・評価

13F(1999年製作の映画)
3.9
現世は夢となり夢は現世となる

マトリックス(1999)の影に隠れた、仮想空間と現実に翻弄されるサスペンスの傑作。
プログラムされた1937年のロスは現実と仮想の区別が全くつかない実在感。
13Fのシミュレーションマシンは仮想現実への入口。
仮想現実の世界で生きる架空の人間達にも人格があり、普通の人間と変わらず泣き笑い日々を生きている。
その世界では現実の自分をモデルとした[もう一人の自分]が生きており、全く異なる人格を持っている。
現実で優しい男が、仮想では残酷な性質だったり…だが、それは本当に[別の人格]だろうか?
夢を見ている人がそれを夢とは気付かないように現実と仮想の境界は曖昧。
電子機器のプログラム内に生きる人間に[命の価値]が無いのなら、儚い生命の有機体である我々とはどれほど違う存在なのか?

世界をどう認識し、どう行動するか?
仮想であれ夢想であれ、プログラム的に生きるか、自由意思を感じ生きるかは自分次第だ。