ぶみ

13Fのぶみのレビュー・感想・評価

13F(1999年製作の映画)
4.0
この世は、リアルな偽物。

ダニエル・ガロイが上梓した『Simulacron-3』を、ジョセフ・ラスナック監督、クリエグ・ビアーゴ主演により映像化したSFスリラー。
仮想現実の世界と現実との狭間で混乱に陥る人々を描く。
主人公となる仮想現実の研究者をビアーゴが演じているほか、アーミン・ミューラー=スタール、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ等が登場。
物語は、ビアーゴ演じる主人公の上司が殺害され、容疑者として疑われたことから、身の潔白を証明すべく、仮想現実である1937年のロサンゼルスと行き来する姿が描かれるが、特筆すべきは、やはりその世界観。
二十年以上前の作品であるため、流石に登場するガジェットや、コンピュータの映像表現が一昔前なのは否めないが、1937年当時の再現性は素晴らしく、走っている多くのクルマといい、細かな装飾品といい、違和感なし。
物語も、頻繁に現実と仮想空間を行き来し、それぞれで名前も役どころも変わっているため、しっかり観ていないとこんがらがってしまうが、その展開自体はしっかり練られており、まるでタイムトラベル・サスペンスを観ているかのよう。
また、ハリウッドの破壊王と称されるローランド・エメリッヒが製作にクレジットされている割には、ド派手なアクションが皆無なのも面白いところ。
そして迎えた結末も、全てがひっくり返り、かつディストピア感溢れるもので、驚かされることに。
しっかり作り込まれた内容であり、このまま埋もれてしまうのは勿体ないので、興行的にはコケるかもしれないが、エメリッヒが監督となり、最新のCGやVFXを使ってリメイクしてもらいたい良作。

記憶をたどれ。
ぶみ

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