コータ

炎上のコータのレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
4.0
三島由紀夫の『金閣寺』を市川崑監督、市川雷蔵主演で映画化。仲代達矢、中村鴈治郎出演。

フラッシュバック、回想シーンへの導入演出が全篇を通して見事。
クライマックスの炎上シーンは、市川崑×宮川一夫の映像美が炸裂。

ただ、原作を読んだ時ほどの感情移入や没入感はなかったかな。比較対象が三島由紀夫の完璧な文章になるので、どうしても見劣りしてしまうのは仕方ない。

金閣の美に対する幻想と執着、世界への反感、元来の孤独感情といった、主人公が放火するに至るまでの繊細で豊饒な感情の揺らぎ。
こういった心理描写を正確に映像化するのは不可能なのだろう。そのためか、「吃り=外側に現れる現象」の描写が余分に描かれていたのが気になった。
こればかりは、映画と小説という芸術形態の違いとしか言いようがない。

映画ならではの強みとしては、やはり役者の魅力になるのかな。市川雷蔵の配役はピッタリで、演技は本当に素晴らしかった。
コータ

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