Jeffrey

マイ・ルームのJeffreyのレビュー・感想・評価

マイ・ルーム(1996年製作の映画)
3.0
‪「マイ・ルーム」‬
‪冒頭、車を降り病院へ行く女性。写真を一枚ずつ見ていく少年。そしてオイルをまき燃やす、放火、美容師の女、白血病の姉、介護問題、今、妹と息子2人で20年ぶりに実家へ戻る…本作は日本が付けたマイシリーズの一本として、当時話題になったオスカー俳優3人を主演(ストリープ、キートン、デニーロ)にした家族の絆、再生を描く人間ドラマで、今となっては問題児役の若き日のL.ディカプリオもオスカー俳優となり系4人が共演した奇跡の映画とも言えなくない。重いテーマを扱いながらもユーモアのあるシークエンスがいくつも有り、優しい空気感があるし、ぎこちない雰囲気も強気の母と反抗的な息子とのピリピリ感の対立も何処か笑える。まず、本作を観ようとしたのは遥か昔の話で、製作に俺が好きな映画天使にラブソングを…のS.ルーディンが居た事により観たんだが、今改めてスタッフ一覧を眺めると凄い面々だ。撮影はソボシンスキーに衣装はJ.ウェイスだ。名前言われてもピンと来ない人でもトリコロール赤の愛や12モンキーズの裏方と言えば凄味が分かるかと…そして本作の物語は世界に絶望したL.D扮するハンクが放火を起こした事により、話は始まり施設に送還される。M.S扮する母リーはそんな彼と次男チャーリーを連れ音信不通だった姉ベッシーのとある一報により家までドライブする。そこで関係が強く重要視され始める。ハンクは甥に、母の姉は伯母になり、母は妹に立ち位置が変わる。ここが本作の画期的なもので面白い。それはこの地球上に自分の居場所がないと孤独に苛立つ思春期の少年が白血病の伯母との温かい交流により、徐々に関係を良くして行くのだ。だが、勿論反抗的な彼は簡単にとけ込まず、反抗的な態度で、母、伯母に突っかかっていく…それは彼が今できる最大の自分の表現であり、愛情なのである。もう命に限りがある人と命をまだ存分に活かせる人を軸に、ユーモアある温かい家族ドラマが展開して行くのである。まず本作の主人公であるハンクは父親コンプレックスである。父は亡くなり、だが唯一彼は父に愛情を感じているようだ。それは放火する手前で家族写真を切り、父だけの顔をしまい、残りは燃やすのである。劇中でレーサーだった父の写真を自慢する場面や母との対立時には父を引き合い母を苛立たせる場面もある。さて、この自宅を放火したとんでもない息子のおかげで修道院に身を寄せる羽目になる家族、骨髄移植を必要とする姉を見舞いに行く為に20年ぶりに故郷に帰る妹、険悪な姉妹の友情に加え、息子2人、姉妹の寝たきりの父、父の祖母の絆が描かれ始める。いや〜中々しっかりとした脚本で素晴らしい。ディズニーに行く場面で、母に父の過去を暴露され、父への尊敬を破壊されたハンクの憤慨ぶり、妹にウィッグを整えて貰い幸せそうな姉の笑顔、祖母にメイクする次男との可愛らしいお遊び…と記憶に残るシークエンスが多々ある。タイタニックで知ったL.Dもそれ以前の作品も高評価な映画は沢山あるも、本作はかなり魅力的で自然体な芝居が良かったし、終始苛々するストリープも、ほんわかな女性を見せたキートンも素晴らしい。‬ ‪しかし監督のJ.ザックスは本作が初映画デビューにして、これしか撮ってないよな…本作は難病に苦しむ人々に一筋の光を与えるそんな優しさと温もりに満ちた米国の良い作風なんじゃないかなと思う。久々に見返したが無償の愛を捧ぐ一本だ。‬
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