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火宅の人のyukakoのレビュー・感想・評価

火宅の人(1986年製作の映画)
4.7
川端の小説の一文が頭をよぎった、「恋には2人の他に身方なんて絶対にいないんだよ。」結局奥さんが幸せかっていうとそうではなくて、主人公が悪者かっていうとこれまた全然そうではなくて。みんなちょっとずつ傷ついていて、傷つくと知っていながら、本気で誰かを愛する事が出来る人間っていうのが、弱いんだけどやっぱり魅力的。「人間の馬鹿なところを大事にしたいんだ」って分かるなあ……。こんな駄目でチャーミングで色気のある檀一雄は絶対に緒形拳にしか出来なかったと思う。息子の元に駆けつける桂を見送る恵子が悲しくて胸が締め付けられた……絶対に止められないんだけどあの時彼があそこに留まったら恵子は一生をかけて桂を愛しただろうなあ、なんて。
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