似太郎

ジョニーは戦場へ行ったの似太郎のレビュー・感想・評価

ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)
4.0
【死という救済】

中学生のときに三軒茶屋のビデオ屋で借りて観てショックを受けた一作。当時(70年代)らしい厭世的なムードが色濃く、ロバート・アルトマンの『マッシュ』と被る作品でもある。

取り敢えずこれはアメリカン・ニューシネマには分類されないだろう。どちらかと言えばヨーロッパの文芸映画なんかに近い作品である。ダルトン・トランボ原作、監督。戦場に於いて負傷し芋虫状態になって軍に監禁されるジョーの悲痛な叫びが胸に響く作品。

江戸川乱歩の短編小説『芋虫』を映画化した若松孝二の『キャタピラー』というモノもあるが、あまり観たいとは思わない…。

戦争の非人間性や残虐性を描いた映画ならキューブリックの『フルメタル・ジャケット』の方に軍配が上がるが、こちらもどこかおセンチな雰囲気が強くて日本人好みなんだろう。(だから悪いという事ではない)

戦争へ出征する前に✌️するジョニーの末路は、ただの生き地獄。「殺してくれ〜」とひたすら懇願するのみ。

70年代という政治の季節からだいぶ経ち、完全に平和ボケ&右傾化している現代社会に於いて本作は効力を失っているのだろうか…❓果たして。

何にせよ、戦争で生み出されるものは「破壊」と「殺戮」のみ。トランボ監督による平和へのメッセージを真摯に受け止めた。😢
似太郎

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