みおこし

チキンランのみおこしのレビュー・感想・評価

チキンラン(2000年製作の映画)
3.5
過去鑑賞。アードマン・アニメーションズが手がけた記念すべき長編アニメーション第1作目。まだアカデミー長編アニメーション賞が設立される前だったので涙を飲んだ作品ですが、時期が時期ならばこの偉業は間違いなくオスカーを獲得していたはず。

イギリスのとある養鶏場。極悪非道な管理人のトゥイーディーの監視下で、日々命の危機に晒されながら卵を産み続ける雌鶏たちだったが、なかなか脱走作戦はうまく行かない。リーダー格のジンジャーでさえも作戦を諦めようとしていたが、ある日空を飛んでロッキーという雄鶏が現れ...。

『大脱走』へのオマージュが細部にまで見て取れる、痛快脱走劇!しかし主役はニワトリたち!!
ひつじのショーンや、ウォレスとグルミットが個人的に可愛くて大好きなので、同じようにニワトリに愛着が持てるか自信があまり無かったのですが(笑)主役のジンジャーがとっても芯が強くてチャーミングなキャラクター!イケメン気取りの雄鶏ロッキーも、メル・ギブソンが声優を務めているのがまた味噌!(笑)想像以上に楽しめる作品でした。
しかし、随所に養鶏場=ナチス・ドイツによる強制収容所を彷彿とさせる描写があったり、ニワトリが日々死の瀬戸際に立たされていたりと、他の作品よりもよりブラックな要素が多く見られるのが特徴的。

ニワトリたちのお尻の羽根、思わずぞわぞわっとするくらいリアルに再現されていてもうその造形を作るだけでも脱帽なのに、それをコマ撮りで動かして撮影するなんて本当に果てしない作業...!ニワトリ小屋でのダンスシーンや、ラストの壮大なスケールの脱出シーンはいずれも圧巻です。
本作のアーカイブは残念ながらこの後に起きた火事により多く消失してしまったとのこと...。そういう意味でも貴重な作品です。
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