ローズまりぃ

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火のローズまりぃのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

629
2023 10
爆発のシーンは昔の感じが凄いけどルー・オランダーの影で全く顔が見えない演出は凄かった。いかにも怪しくて黒幕っていう感じが今の映画でもこんな演出なくて観てて新鮮だった。それにストーリーも中々に面白くてテンポ良くあっという間に観てた。
当時の技術だから全然グロくないけど注射がずっぷりと貫通するほど刺されてるのは作り物感もあんまりなくて上手で意外すぎてよかった。
最後の展開も個人的には超好き大好き。


舞台は1955年ネバダ砂漠の水爆実験場。新しい放射能防御計画に若い夫婦が挑もうとしていた。夫はブライアン・ベル、妻はペギー。2人は地下核シェルター内における放射能に対する人体の耐性を高める実験の被験者だった。夫妻は数々のワクチンを投与されシェルター内で爆発を体験するが放射能は検出されなかった。実験は成功しベル夫妻は一躍時の人となる。その後ペギーは男児を出産しデーブと名付けた。デーブは体温が高いことと手の甲に円形の腫瘍がある点を除いてはいたって普通の男の子。ところが出産の後ベル夫妻は肉体の内側から発火し焼死してしまった。実験に携わった軍部と科学者チームは遺体と部屋の状況から人体自然発火(SHC)と判断。夫妻に与えた数々のワクチンが放射能と結合し予期せぬ力が働いて発火したのだと考えた。
孤児となったデーブはサムと名前を変えられ両親のことを何も知らずに育つ。30数年後サムはカリフォルニア州で教師の職に就いていた。トリニダード・ビーチ原子力発電所が深夜0時に稼働する予定で町は原発賛成派と反対派に二分されている。学校を出たサムは自分の車に焦げた箱が置いてあるのを見つけた。中には懐中時計と「私の息子へ」と書かれた古い手紙が入っている。サムは不思議に思いながらも2年前に離婚した前妻レイチェルが待つカフェへ向かった。彼女との仲はすっかり冷め切っていたが彼女の祖父であるルー・オランダーはサムの面倒を見てくれた恩人。彼は原発の経営幹部でもある富豪。レイチェルとの会話で知人女性が昨夜焼死したことを知りショックを受けるサム。レイチェルはお構いなしに店を後にしサムは店員から支払いを迫られる。サムが苛立っていると突如信じられないことが起こった。指先から炎が噴き出したのだ。サムは動揺しながら火傷した指を見つめた。校医のシンプソンに相談するが仮病を疑われる始末でサムはますます苛立つ。
帰宅したサムは超心理学者パーソンズ博士のラジオ番組に耳を傾ける。話題は人体の自然発火現象について。ラジオを聞きながら暖炉に火をつけると揺れる炎の向こうに両親の姿が浮かぶ。困惑するサムは恋人リサ・ウィルコックスのアパートを訪ねた。リサからシンプソンが焼死したことを知らされたサムは「人間の自然発火だ」と呟く。立て続けに知人が焼死し自分の手からも炎が噴き出したことに不安を覚えるサム。リサの勧めでラジオ放送中のパーソンズ博士に相談してみることに。サムは暖炉で見た両親の幻について話す。名前を聞かれたサムは「デーブ・ベル」と答えていた。すると突然痛みがサムを襲い手の腫瘍が大きくなる。もっとパーソンズ博士に話を聞こうと思いラジオ局に電話をかけたが取り次ぎの技師は横柄な態度で相手にしてくれない。サムが激怒すると炎が電話線を伝って技師を焼き殺した。サム自身も腕から炎が噴き出し体を焼いていく。どうやら怒りがスイッチとなり発火するよう。リサは急いでサムを病院へ連れていった。
車で移動中リサはルーと知り合いだったことを打ち明ける。ずっと世話になっていた恩人でサムと出会うようお膳立てしてくれたのもルーだと話すリサ。しかし何故か口止めされていて言い出せなかったそう。サム達が病院に到着すると駆けつけたのは知人でレイチェルの恋人でもある医師マーシュ。診察室へ運ばれたサムはどこかに電話をかけたマーシュが「これは“SHC”です」と言っているのを聞く。そこにサムの古い友人でもある医師キャグニーが現れ担当を代わった。リサとマーシュが退室しキャグニーも別室へ消えたため1人になったサムはラジオ局の技師が焼死したニュースを目にする。サムは急いでパーソンズに連絡を取りある女性の連絡先を聞き出した。彼女は「デーブ・ベル」と名乗ったサムの放送を聞き博士に連絡を入れてきたそう。電話を切ったサムは机の上にあった書類に目を通しますます混乱する。そこにはサムとリサの資料が集められていた。現れたキャグニーはサムの疑問には答えず薬物を投与してサムを殺害しようとする。サムがキャグニーを押さえつけると炎が噴き出しキャグニーは焼死した。サムは火傷を負った体で病院を逃げ出す。パーソンズ博士から教わった女性の家を訪ねたサム。歓迎してくれた女性はニーナといいサムの両親の親友だった。彼女は両親が被検体となった実験について話す。実験に携わった軍部や科学者チームはシェルターでは放射能を防げないと分かっていた。彼らの本当の目的は抗放射能薬の人体実験だった。そして実験にルーが大きく関わっていたと知りサムはショックを受けた。入手した懐中時計がブライアンの遺品だと聞かされサムは能力を使って両親の復讐を果たそうとニーナの家を出ていく。
公衆電話でリサに連絡を取ったサムは彼女も共犯者ではないかと疑っていた。リサは否定するがサムは感情を抑えられない。彼の怒りが炎となって電話線を伝わりリサは手に火傷を負ってしまう。サムは体のあちこちに火傷を負いながらルーの屋敷に踏み込む。現れたルーは平然とベル夫妻の実験は成功だったと話した。そして更に衝撃的な事実を明かす。ルーはブライアンを買収し実験中にペギーを妊娠させるよう命令していたという。目的は自然発火能力を有し自在に核エネルギーをコントロールする人間兵器を生み出すこと。リサも同じく計画の産物で彼女も発火能力を秘めているそう。強力な人間兵器を望むルーはサムにリサと子どもを作って欲しいとまで言い出した。熱に浮かされたように「世界で最も洗練された核兵器だ」と話すルー。彼への怒りに満ちたサムは能力を使い稼働直後の原子力発電所を攻撃。サムの全身から凄まじい炎が噴き出しルーも飲み込んで燃え盛った。一方リサはアパートに侵入したマーシュに襲われていた。彼は自然発火能力を嫌悪しリサを殺害しようとしていた。その時リサも能力に目覚めてしまい腕から噴き出した炎がマーシュを焼き殺した。駐車場で待ち構えていたレイチェルにも殺されそうになるがそこにサムが現れる。彼は全身を重度の火傷に冒されもはや顔の判別も出来ない。サムはレイチェルを焼き殺しリサに「君の火を受け取るよ」と言った。サムはリサの力を奪うことで彼女を助けその代償として人の形を失い消えてしまう。SHCから解放されたリサが天を仰ぎこの映画も終わりを迎える。
ローズまりぃ

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