あでゆ

Mr.インクレディブルのあでゆのレビュー・感想・評価

Mr.インクレディブル(2004年製作の映画)
3.0
スーパー・ヒーローの破壊力に満ちたパワーは、一般市民の生活にもダメージをあたえ、スーパー・ヒーローは、政府から活動を禁止されてしまう。それから15年後、かつて人気ナンバー・ワンだったヒーロー“Mr.インクレディブル”は保険会社の社員として暮らしていた。

序盤が最高だっただけに、後半が惜しかった作品。インタビューから始まる入りとか、栄光と挫折とかは最高だったし、キャラクターのセンスもビンビンなんだけど、そこからはあまり乗り切れなかった。

そもそも本作の主題は『ウォッチメン』『シビルウォー』に代表される「誰がヒーローを管理するのか」という問題を扱っているが、これが根本的に解決していない。最終的に悪党退治したからやっぱり必要だよねっていう結論は少々強引に感じるし、そもそもヒーローがいない期間の悪党はどうしてたんだという疑問も浮かぶ。仮にヒーローがいない期間はヴィランも生まれないというメタ世界観なら、ヒーローは必要ないし。

加えて、副題として扱われたヒーロー、即ち才能のある人間が同調圧力の中で”普通”でいなければいけないという問題についても、うやむやになっている。そもそもヴァイオレットは兄弟喧嘩で能力使えるのに、なんで敵の前では「使っちゃダメっていった!」ってどんだけ融通効かないんだよ。性格も支離滅裂としていて何考えてるかよくわからないし、能力も透明化とバリアを特に関連もなく二つ持っているんだよな。もともと別々のキャラクターを後で都合でくっつけたという感じがする

一方で、誰かを守るというエクスキューズによって他者を遠ざけて自分を傷つかないようにするっていう主人公が一歩踏み出したりしたところはベタだけど良かった。ちゃんと全員で活躍して敵を倒すっていうのは間違いなく本作の白眉だ。

あとやはり、個人的にはヒーローものはちゃんと悪を倒して欲しいというか、一発目の敵として私怨を持たれた人間を倒すっていうのはやはり主題と副題に対して世界が狭すぎるよなあと思う。とはいえ、最後エンジンに巻き込んで殺すのとかはエグすぎて好きだったけど。

デザインに関してはとても秀逸で、あの時代にタブレットPCが出てくるのとかすごいし、ガジェットや敵に関してもおしゃれなものが多かった。

はからずも『M:I ゴーストプロトコル』を今日見直したけど、この映画からの抜擢は割と納得がいく。ヒーロー映画というよりケイパーものっていう感じだったし、悪党ではないけど。
『ダークナイト』でバットマンがジョーカーそのまま轢き殺すみたいな映画だったな。
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