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我等の生涯の最良の年のとぽとぽのレビュー・感想・評価

我等の生涯の最良の年(1946年製作の映画)
4.0
何もなかったかのように、戦争のことを忘れて日常に戻ることなどできるはずもない復員兵への理解と援助、そしてなにものにも勝る愛の力

社会復帰は難しい。待ち受ける過酷な現実、直面する社会問題に戦後の余波。フレッド、アル、ホーマー…うまい具合に3つに分かれた年齢層(ホーマー役は今だったらバリー・コーガンくん)や暮らしっぷり。貧困、中流、上流と違えどそれぞれに悩みは絶えない。そんな当時のアメリカ社会のリアルを温かい眼差し、優しい語り口で寄り添うように描き出す、"古き良き時代"の礎となるような良心的作品。そして、このタイトル…沁みる。
勲章がたくさん!PTSDという言葉もなかった時代に、戦争の傷を。目に見える身体的なものも見えない心理的なもの=トラウマも。せっかく家に戻れても職探しや好奇の目・過剰な気遣いなど、それぞれが問題を抱えていて。忘れろと人は言うけれど、過去を忘れて戦争を知らなかった昔"あの頃"に戻るなんてことはできないのだから。かつての部下が上司になっていたり、社会に適合していくために頑張るけど生活の不安定さ。制度としてはあっても実際の理解が進んでおらず、帰還兵に冷たい世の中の尺度。もっとチャンスを与えるべきだ。
戦地ではそれまでどんな職について、どれくらいの稼ぎで、どんな家に住んでいたかなんて関係なく、戦場で共に戦った戦友としてひとりの人間としてあらゆるレッテルを拒み、身一つ、内なる中身で見る。魅力的なペギー、一方でフレッドの奥さん心底ムカつく!結局、愛ですよ。そう、愛なんだ。どんな自分でも愛してくれる人がいるのなら素直に助けを求めて甘えていいし。飛行所での差異を伴う反復。

ブッチの店
「触れないでいてくれてありがとう、君がたくさんいるといい」
次に戦争があったら世界の終わり
「現実に気づいたとき。将校なんかでなくソーダ水の売り子だとな」「この国の未来に投資すべきだ!」「二人の結婚を壊すわ!(←我が子から聞いて驚くセリフ)」How many times
Drugstores everywhere.「他の町ではなにか違うのか?苦労したのは分かるが、この町に根を張ってみて」「空軍の堕天使ってやつか」「生活が安定するまで何年もかかるし、金も家もないが、一緒に頑張ろう」

P.S. チョコ・サンデー食べたい
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