泣いたり踊ったり

かいじゅうたちのいるところの泣いたり踊ったりのレビュー・感想・評価

3.8
子供の頃の世界の見え方を思い出させてくれる映画、これを大人が撮ってるのがすごい。

私の家庭もこの映画と同様、父親は(年に2回しか)会えず母は絶対的な存在だった。構って欲しくて食事を準備している母にくっついてみるものの、何かに疲れてるのか、やたらと強く叱られてしまい食事を取り上げられることなんて頻繁にあった。
あの頃の自分にとってそれは世界が滅亡するくらい悲しい出来事だった。そうだった。子供にとって家庭って小さな宇宙で、母親は太陽みたいなものだよね。

主人公のマックス少年が可愛い、本当に目がキラキラしている。子供本来の自然な表情がここまで上手に撮れてる映画ってない、どう撮影したんだろうと思ったら、撮影現場にスタッフの子供が沢山いて常に遊び回っていたんだと。撮影した時代を考えれば保育士や看護師は常にいたことだろうし、めちゃくちゃ手間とお金がかかりそうだ。撮りたい絵に対して妥協のない監督なんだろうな。

大きなぬいぐるみで作られてるけど人間のように複雑な性格と関係性を持っている、リアルとファンタジーの狭間に生きる不思議なかいじゅうたち。可愛かったけどちょっと怖くて、怖いと思えた自分の感性がなんか嬉しかった映画。