泣いたり踊ったり

グラディエーターの泣いたり踊ったりのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
3.8
【ネタバレ】
ホアキン・フェニックスってダークヒーローを演じるために生まれてきたのかな。背筋が寒くなるほどの色気、やり過ぎな白塗り、かなり気色が悪いにも関わらず存在感で言えば主演のラッセル・クロウを越えている。つーか私好み。
孤独で愛が重くて歪みきった人間が、何か大きな事をムリヤリ成し遂げようとして自滅する、人が破滅する映画として見るととてもいい。暗い屋内描写で彼の演技が冴え渡っていた。

しかし、イギリス的な湿度100%のロマンチックな映像美を得手とする監督に、何故この映画を任せたのか首を傾げっぱなしだった。アカデミー作品賞受賞?マジで?復興成績が良かったから?

屋内描写や衣装や調度品はさすがに美しかったけど戦闘シーンは、うーん…これ本当にみんな面白いと思った?これが評価された時代の空気がわかんないよ、子供だったし。

砂煙が舞う血なまぐさいローマの剣闘士にそもそもロマンを感じないんじゃないかな、この監督は。ローマ帝国皇帝の座にしがみつくあまり正気を失ってゆくコンモドゥスが何だか監督本人に見えたわ。


剣闘士奴隷の元締め役を演じたイギリス人俳優、オリヴァー・リードの死に際がとても良いオチになってたから、以下転載

『1999年、リドリー・スコット監督のグラディエーターという久々の大作映画出演だったが、同年5月2日、あと3週間分の撮影を残したまま心不全で急死した。
ロケ先のマルタ島の港町バレッタの酒場でラム酒3本を空にし、水夫相手の腕相撲で5人を打ち負かしたあげくの心臓発作という、映画の中で自身が演じた役柄のような死に様だったという。』