おーけせらけせら

レクイエム・フォー・ドリームのおーけせらけせらのレビュー・感想・評価

3.9
胸糞悪くなる感じ、この監督だよなーと何だか懐かしくなりました笑。

『ブラック•スワン』や『マザー』、『π』、『ファウンテン』、『レスラー』などは見たことがあったけれど、本作は編集のテンポ感やカメラレンズが魚眼になったりカメラを役者に吊るしたり?随所に細かいこだわりがあって面白かった。

音楽も良かった...

脚本は意外と大したことない(midiocreと書いている海外のコメントもちらほら)かもしれないけれど、撮影や編集のテンポ感、スタイリッシュな技巧、役者の上手さによって全然気にならない。

ジェニファー•コネリーが身体張っててすごい。今敏作品へのオマージュショットがめちゃめちゃ良かった (今敏すごい!)。

映画は総合芸術とも評されるけど、この作品はそれを全て体現していた。

ラストシーンのジェニファー•コネリーはボディ•ダブルを使っているんだろうけれど、気分悪くなるくらいのグロテスクさ!非現実的だけれど現実にあるんだろうな...あってもおかしくないよな...と思わせる説得力のある(悪)夢のようなショット。

本作の監督であるダレノフスキーは、人間の醜さそのものを画面に叩きつけ『ハッピーバースデー!』と大声で叫びながら笑顔で走って逃げていく、そんなパイ投げアーティストだなと思う。

一言で言うなら、趣味の悪い芥川龍之介のような監督笑!!!

初期作品は編集を細かくカットしたり、早回しにしたり、魚眼レンズ使ったり、遠く離れたところから被写体を撮ったり...編集で遊んだり色んなことやってたんだなーと勉強になった。

『ブラックスワン』や『レスラー』、初期商業作品『π』からずっとこの監督は人間の精神やエゴ、だらしない部分に焦点を当て続けているんだな...と納得した。

ポン•ジュノは学生時代から社会を批評/批判しているけど、ダレノフスキーは人間の内側を見つめる人なんですね...

映画を「娯楽で良し」とはさせず、アートにまで昇華させる監督ですよね。原作があるにしても、いつも選ぶ題材が題材...

ぶっ飛んだことをやる勇気、批評をものともせず更にぶっ飛んだものを撮り続ける根性•気合い•動機...イッテルと思います笑!!