あ

レクイエム・フォー・ドリームのあのレビュー・感想・評価

3.6
もうええわ!どうもありがとうございました。

グランジのMVみたいなノリが2時間弱続くのは流石にしんどいです。本当にこんなことしなければ薬物の恐ろしさって描けないのか、これくらいのことならサンフランシスコの車載カメラの映像を見てるだけでも十分わかります。

もっとラストみたいに人が快楽に反応するだけのモノに落ちていく瞬間と、それでもなお残る人としての甘い記憶が矛盾する残酷さをしっかりと描いて欲しかったです。薬と瞳孔のモンタージュみたいなのを何回も流されたら流石に飽きがきます。

でも流石にぶっ通しでサウンドガーデンのMVみたいにぶっ壊れた映像を撮り続ける体力はすごいと思いますし、不思議とアーティスティックに気取った感じもしませんでした。

「ザ・ホエール」でもそうでしたが、この監督は、画面の中に意識的に画面を設置していて、画面と現実の隔たりが壊れる時にクライマックスを迎えるところに個性があったりするのかな?なんて思いました。画面分割もギャスパー・ノエのそれよりもしっくりきたのはそのせいかと。

ただそれならば、テレビ番組が侵食してくるという大仰な演出よりも、オンラインミーティングでカメラをつけるというだけで画面の隔たりを壊した「ザ・ホエール」の方が、無駄な力みがなくてより成功していたと思います。

あと何気に黒人同士がちゃんとセックスをする映画は初めて観たような気がします。僕の知識が少ないだけかもしれませんが、ここまで普通に、しかも白人のそれ(ジャレッド・レト×ジェニファー・コネリー)と何ら変わらず対等に描いていた作品って実は少ないんじゃないでしょうか?

有色人種が人じゃなくて有色人種として描かれているという問題を、全く感じさせない結構凄い映画なんじゃないかと思いました。しかもこれ白人が撮ってるっていう。

そうすると、最後のアジア系の看護師も、アジア系というよりも、しっかりアメリカ人であるというふうに配役されていたように見えてきます。
あ