キミシマユウキ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

4.3
老け込んだ男ヌードルスがとある招待状を受け取って久々にニューヨーク訪れる。そして思い出の地で彼の若かりし日々を思い出していく…

名優ロバートデニーロ主演のギャング映画傑作。
『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』でお馴染みセルジオレオーネ監督の”ワンスアポンアタイム三部作”最終章!
彼の遺作にして最高の代表作。

こ、こ、これが…
これがギャング映画だ!!ギャング映画の金字塔だ!
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にてチェックだ!


思えばこの映画を何人のフォロワーに薦められたことだろうか。
ギャング映画のレビューを上げるたびに

「『ワンス~』を見てないとギャング映画好きとはいえないな!」

と言われ、
西部劇映画にハマリだした頃は

「レオーネ監督の西部劇と『ワンス~』を観ないと始まらないぜ!」

と言われ、ギャングも西部劇も全てセルジオレーネ監督につながるのか!と驚いていたのも懐かしい。

そしてついにこの時がやってきた!
一人の男の半生を約4時間の長尺でじっくり描くことでギャング映画の醍醐味である
欲望、金、権力、愛憎、友情、絆、裏切り、
全てを映し出すレオーネ監督の手腕は素晴らしい。さらにこの映画の登場人物は多くをセリフで語らず”沈黙”で語る。
つまり瞳の輝きで、表情の微妙な変化で、小さな身体の仕草で感情を表現するのだ。これは素晴らしい役者と監督がセットじゃなくてはなせない技だ。
また、この映画は時系列が複雑だ。幼年期・青年期・老年期の三つのパートがバラバラに乱れてまるで走馬灯のように流れていくのだが、その切り替えが非常に巧妙で覗き穴から覗き穴、ランプからランプ、と切り替わったことに気づくのが難しいほどだった。
もちろんギャング映画には欠かせない過激な暴力描写、性描写も隠すことなく出てくる。
特にこの映画で何度も登場するSE○Xシーンの特徴はそこに愛がないことだ。お互いを愛し合って生まれるものはなく、汚らわしい行為としてしか映し出されないように見えるのだ。
なにより監督が今までの作品で表現しまくっていたアメリカに対する羨望と尊敬の念がヒシヒシと感じた。
ユダヤ系移民の主人公がアメリカの地で栄枯盛衰していくさまは監督自身を投影しているのかもしれない。。。
最後に音楽、監督とは切っても離せない親友であるエンニオモリコーネの哀愁漂う素晴らしい楽曲だ。『荒野の用心棒』からずっと音楽を担当しているだけはある。

主演はロバートデニーロ。
映画好きなら知らない人はいないだろう。自分は彼のファンと自称して様々な映画を見てきたが、
この作品をみずして彼を語るのはまだ早かった。今作の主人公は元々青年期と老年期は別々の俳優を配役する予定だったらしい。しかしこの素晴らしい役者を獲得したことで同じ俳優でもいけると判断したらしい。その判断は全くもって間違っていない。歩き方から何まで繊細に演技をするデニーロに終始驚かされた。
幼年期ヒロインデボラを演じるはジェニファーコネリー。
今作で映画デビューの彼女、幼くして天使のような美しさを振りまいていた。『ビューティフルマインド』で最近見たばかりなので少し好きになった。
他にはギャング映画には欠かせないジョーペシや主人公の障害の友マックス役にIQ180超え俳優ジェームズウッズなど渋い配役が光っている。


4時間という長尺で敬遠されがちなのは承知だが、この映画をみずしてロバートデニーロ、そしてギャング映画を語ることが出来るだろうか!?
この作品でエネルギーを使い果たしてしまったのか、レオーネ監督は次を作ろうとした時に過労で亡くなってしまった。
それほどまでに魂の篭った作品。
公開時、一般ウケを考えた制作会社によって勝手に135分にまで削られて上映されたという不運さで当時は

「製作会社がフィルムを切り刻んだ」

と嘆かれていたらしいが、やはり4時間をかけてでも傑作は製作者の意図した方法で上映されるべきだ。

ギャング映画好き、レオーネ監督のファン、そしてロバートデ・ニーロの絶好調の演技を見たい方にはオススメの作品。