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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのStarstreamerのレビュー・感想・評価

4.8
一世を風靡したマカロニ・ウェスタンの巨匠、セルジオ・レオーネの遺作。
最初は6時間もある超長尺で、無理やり削ったバージョンを公開したもののウケが悪く、改めて再編集した結果が今の版。やはり、この映画の素晴らしい所は、空気感や顔の演技で全てを表し、長い程繊細な描写をしている所だと思う。
ショットも非常に独特で、わざと俳優の顔をアップで写し、観客が演技を解釈して汲められるようにしている(と思う)撮り方が素晴らしい。また、アクション場面では、少しずつ視点を変えながらカットを繋ぐような手法で、カメラ自体にも変化をつけるようにする、先駆的とも言えるやり方に惹かれた。今はセリフに重みを置く映画が増えたが、ショット毎に見る者に展開を委ねるような作り方は新鮮だった。
キャスト陣も豪華で、デニーロ始め若い頃のジェニファーコネリーや、ギャング映画の常連ジョーペシも、裏を引く謎めいたキャラ役で出演。
時代を交互にし、ヌードルスの全盛期と過渡期が描かれる。ロバート・デ・ニーロの哀愁溢れる演技は至高とも言える。作り笑いのような笑顔が悲痛な気持ちにさせられるが、最後素で笑っているのが分かるのが凄い。彼の役でか、撮り方もストーリーもどこか似ている「ディア・ハンター」を想起させてしまう。これに出てくるラリーラップという俳優が、前述の映画の登場人物の一人と瓜二つで、役柄も似ているのが謎。
最初に彼は駅に行くが、後にそれは彼の若い頃に重要な場所と分かる。結果彼は何回もそこを訪れているわけで、同じ動作をするが、そこで前の時代に戻る。ヌードルス自身が物思いに耽ける時、観客もそれをなぞることになっていると思う。タイトルの「ワンス・アポン・ア・タイム」は彼の記憶の中の物語だからだろう。途中、仲間たちの墓を訪れるが、その時上を見つめるのが印象に残る。未だに何を意味するかは分からないけど、何か意図がある事は確かだろう。
そしてこの映画でキーとなるマックスについてだが、最初からひったくる対象の飲んだくれをヌードルスたちからかっさらったりと、常に何かを彼から奪っていた。だから悪い意味でも一心同体となっていたのだろうか。結局死んだ偽装をして、長官に成り代わっていたというが、その時画面に映るデボラの表情が全てを物語っていると思う。ヌードルスはパーティに出席する前に息子と会ったが、その時点で分かっていたのだろう。
個人的に1番難解なのがクライマックスで、マックスがゴミ収集車とともに姿を消す場面。カメラの視点からも自殺したともとれるが、「Mcgary」とゴミ収集車に書いてあるのでより難解にさせる。
このシーンも含め、ヌードルスの刑務所生活や最後の仕事など、直に描かないのも魅力だが、代わりに相当な想像力が必要になる。自分もこれを書いてる時に少し見直しました
稼ぎの種だった禁酒法がなくなり、それを祝うパーティで棺桶に禁酒法が入れられたのを面白おかしくケーキにしていたが、その日に彼等の運命が決まってしまうのは皮肉としか言いようがない。
悲劇と感動が入り交じるようなテーマに乗せ、生涯にわたり結びついた二人のストーリーを描いた間違いないギャング映画の傑作。
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