木村悠介

らせんの木村悠介のレビュー・感想・評価

らせん(1998年製作の映画)
5.0
世界が『らせん』に追い付いた。おそろしいほど〈今〉の映画。PRESENT! 騙されたと思って、もう一度、観てほしい。僕はたぶん今回で3回目。昔最初に観た時は、「なんかちょっと付いて行きにくい」と思った。『リング』は前から名作だと思ってたので何度も観てるが、久しぶりに『らせん』観てみるか、と何年か前に観た時、「あれ、けっこう良いじゃん」と思った。そして今回。驚いた。途中で「あれ、この映画、最新作だっけ?」と思ってしまうぐらい、いちいちゾクゾクする。もはや〈貞子〉はアイコンになってしまったが、『らせん』では本来持っていた〈女〉性も非常によく描かれていて、『プロミシング・ヤング・ウーマン』を超えるガールズ・リベンジ・ムービーとしても観れる。もちろんポスト・コロナ映画だし、ヘタをすればポスト3.11.なのかもしれない。あらゆることが、今ならハッキリと受け止められる。そうなってしまったのは、この映画が作られた後に起きた様々なことを私たちが経験してきたからだ。映画というのは、ごく稀に、こういうことが起きるんだなと、久しぶりに興奮した。
いちおう、小説も流行っていた頃に大体読んだはずで、小説は確か当時から面白かった気がする。今読んだらもっと面白いかもしれないと思った。
木村悠介

木村悠介