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新ドイツ零年のshukiのレビュー・感想・評価

新ドイツ零年(1991年製作の映画)
4.9
相も変わらず断トツのフレーミング。
シャンプティエタッグ作に近い、カメラの動かなさだが、色味がシャンプティエと全然違う。渋いカラーパレットが超絶格好良い。
映画史のようなモンタージュや、マリアのような自然、カルメンのような弦楽奏、ウィークエンドのような水辺の横移動。過去のフィルモグラフィが想起されつつ、ついぞ"時間"に言及するゴダール映画。

ゴダールはドン・キホーテだという評論を耳にしたことがあるが、この映画にはドン・キホーテそのものが出てくる。

ゴダールはいつか、美しい人のクローズアップ程強いイメージは無い旨の発言をしていたけれど、その発言に見られるようにゴダールは美しいものをただ、美しいものとして撮る。それはとても難しい事だけれど、ゴダールのショットはそれを常に達成しているような気にさせられる。
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