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奇跡のleylaのレビュー・感想・評価

奇跡(2011年製作の映画)
3.8
JR九州新幹線の全線開通の際に製作された企画もので、新幹線をうまく活かしていたし、鹿児島にも親近感が持てた。何よりも子供たちの自然体の演技がとてもいい!

↓以下、ネタバレ含みます。










両親の離婚で鹿児島と福岡で離ればなれに暮らす兄と弟。新幹線開業の朝、最初の上りと下りの電車がすれ違った瞬間に願い事を唱えると叶うという噂を信じて友人たちと旅の計画を立てる…

小6の兄は、なんでこんな火山灰の降る街に住んでいるのか?と不満で仕方がない。福岡で父と暮らす小4の弟が楽しそうなのでちょっと面白くない。

目的達成までの四苦八苦する様子が子供らしくて楽しい。あれほど家族みんなで一緒に暮らしたいと願っていたのに、一夜の旅から戻った兄は現状を受け入れ、鹿児島も桜島も好きになっているのだった。そしてたぶん、そんな自分のことも好きになったのかな。晴れ晴れとした表情が微笑ましい。

「家族より世界を選んでしもた」

『スタンド・バイ・ミー』ほどで過酷ではないけれど、家庭と学校以外の社会を知ることで子供たちが成長する姿が描かれています。

噂を信じて突っ走ったり、好きな先生の自転車のベルを盗んだり、嘘をついて保健室に行ったり、子供だけで旅するワクワク感だったり、知らない大人と触れ合ったり…自分にも見覚えのある懐かしさでいっぱい。

お爺ちゃんの作る“ぼんやり”とした軽羹(かるかん)の味が“ほんのり”甘くて美味しいと感じたら大人になった証拠。そんな描写も優しい。

まえだまえだ兄弟の性格の違いが今作にハマっていてリアリティがある。さすがは是枝監督、子供たちのイキイキとした自然体の演技を引き出している。周囲の大人がそっと見守っている距離感も温かい。

樹木希林、阿部寛、橋爪功、原田芳雄、長澤まさみ、オダギリジョーなど脇を固める豪華なキャスティング。橋本環奈と平祐奈のデビュー作でもある。
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