kuzira

奇跡のkuziraのレビュー・感想・評価

奇跡(2011年製作の映画)
3.5
夏の麦茶、ポテトチップスの残りカス
縁側の漫画、図書室のクーラー
夏休みが始まる前の一夏の奇跡

夏の暑さを鬱々しいと感じるようになってから
僕は何となく、一つづつ大人になっていた

あの頃、明日も会えるのが当たり前だった
友達とは「またな」でお別れし、
大人へ対しての図々しさは幼き限定で
小麦色のコッペパンみたいな肌を諸共せず
すぐに走り出したくなる衝動も
浅はかで未熟な計画も

僕らの人生は新幹線のように一瞬で過ぎ去る
今も電車の特急くらいで人生は進んでいくし
各駅停車に乗り継いでしまう事もある訳で

と思っていたら大人っていうカテゴライズに
気が付いたら振り分けられていて、
そう思えば確かに僕らはもう大人だった

当たり前なんてのは存在しないって思うし
絶対なんて言い張れない

沢山の出会いや別れ、居場所や孤独を経験して
僕らはきっと夏の麦茶から夏のビールになっている

ただ、奇跡はあるのかと聞かれたら
闇雲にあるとは言い切れないけれど
奇跡のように努力が実る事もあると教えてあげたい

奇跡が全て明るい方向に向いているのは
なりたい自分と、なって欲しい未来とが
子供達の可能性として広がっているから

だからこれは多分、可能性の成長で
子供達が明日を生きる大事な成長で

いつかそれを懐かしむ夏の奇跡になれるといいな
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