この映画のテーマは嫉妬だぞと監督の東陽一は言ったそうで。
監督はある射撃競技の話でスタッフに説明する。
一番目の選手は見えないカーテン越しに10発の弾を
見事全て的のど真ん中に命中させるが
二番目の選手はカーテンに丸い円を描くように弾を撃つ。
カーテンを上げてみると的には命中しておらず
的の周囲を10発の弾の痕が囲んでいた。
原作にだってどこにも決して書かれていない感情、
その感情だけは決して映画の中に描くことなく
代わりにその周りを様々なシーンで埋め尽くす
映画を観終わった者の心にジンワリと浮かび上がるのは
その描かなかったはずの嫉妬という感情。
監督は言う。
競技で勝ったのは最初の選手だが
自分は断然、二人目の選手が好きだ。と。