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ひとりぼっちの青春のleylaのレビュー・感想・評価

ひとりぼっちの青春(1969年製作の映画)
4.0
ダンス・マラソン大会を主題に描いた作品というだけで興味本位で借りてみたけど、観終わってみたら虚無感に満ちたアメリカン・ニューシネマだった。なんじゃこれ〜!とことん鬱で斬新。当時、実際にダンス・マラソンは行われていたそう。

1932年、大恐慌時代のアメリカ西海岸。ひたすら踊り続け、最後まで残ったカップルが1500ドルの賞金を手にすることができるダンス・マラソン大会に集まる人々。1時間50分踊って10分休憩を永遠と繰り返す。両膝をついたら失格。1000時間を超えて踊り続け、睡眠も取らずヘトヘトになり、目の下にクマを作りながらゆるゆる踊り続ける出場者たち。負けたら何も貰えない、主催者側の金儲けの駒でしかないのに、それでも賞金目当てで踊り続ける。やがて精神がおかしくなっていく人々も出始め…

ジェーン・フォンダの冷めた態度とラストの展開、そしてスザンナ・ヨークの精神的に追い詰められていく様子が怖い、痛い、切ない。

当時の貧困と、ハリウッドを含む金儲けビジネスの裏側をダンス・マラソン大会を通じてあぶり出す社会的な作品でもあった。原題と冒頭のシーンがラストにむなしく響いてくる。邦題、おかしいぞ。
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