Omizu

ひとりぼっちの青春のOmizuのレビュー・感想・評価

ひとりぼっちの青春(1969年製作の映画)
3.9
【第42回アカデミー賞 助演男優賞受賞】
『愛と哀しみの果て』などの名匠シドニー・ポラック監督作品。ホレス・マッコイの小説『彼らは廃馬を撃つ』を原作としている。アカデミー賞では監督賞など全9部門でノミネートされ、ギグ・ヤングが助演男優賞を受賞した。主演はジェーン・フォンダ。

よくあるメロドラマかと思っていたらまさかのワンシチュエーション人間ドラマだった。こんな作品だとは思っていなかったのでびっくり。

ダンス・マラソンなる競技をする様子を映し、その中に愛憎劇や心理ドラマを盛り込んでいる。最後の一人になるまでダンスをし続けるという競技で、こんな残酷な見世物があってたまるか!という気持ちになる。でも今でもある競技なんだよなぁ…やっている人すごいわ。

しがない女優と通りがかりの青年がペアを組むことになるが…という話。それ以外にも同じく端役女優の女性、妊娠している女性、海軍の男、主催者の男などキャラの濃い面々が出てくる。ダンスマラソンを取り仕切る男を演じたギグ・ヤングがアカデミー賞を受賞したが、他のキャストも受賞してもおかしくない熱演をみせている。

やっぱりジェーン・フォンダって華があるよなぁ。好きだわ。通りがかりの青年を演じたマイケル・サラザンもフレッシュな魅力があってよかった。『サヨナラ』でも好演していたレッド・バトンズもクセがあっていい。

このダンス会場全体が大恐慌時代のアメリカの縮図のように感じられた。狂気じみた競技に参加する人々、それを観戦する人々、どちらも狂ってる。唯一この会場から外に出るのが海というのもいい。

おかしな人間模様が繰り広げられるその様を観ているだけで面白い。ポラックって『愛と哀しみの果て』はどうかと思ったけどやっぱり上手い。ワンシチュエーションでの展開力がエグい。
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