もとまち

福沢諭吉のもとまちのレビュー・感想・評価

福沢諭吉(1991年製作の映画)
3.8
バチバチのクレーンショットだらけ。柴田恭兵と榎木孝明が雨の中で言葉を交す長回しシーンの凄まじさ。それに続く衝撃的な自決シークエンス。役者の芝居に呼応するがごとく縦横無尽にカメラが動き回り、ワンカットごとにとてつもないスピードでドラマが移り変わる。澤井信一郎の力強い語りには、興味のない話でもついつい惹きつけられてしまう。南野陽子が登場するくだりもハッとするような見事さで、先にオフスクリーンで声だけを聞かせてから、仲村トオルが振り返る動作に続いて美しいアップに切り替わる。シンプルな演出だがとても効果的。ここぞという瞬間を絶対に逃さない。久石譲の音楽は悪くないんだが(今回は初期たけし映画っぽい)、所々のメロディにチープさが目立つ。渡米した哀川翔が発狂してダークサイドに堕ちるくだりがめっちゃおもろい。完全に黒沢清映画の目をしてたよ、あれは。虚無の瞳。
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