ロトスコープとしての映像の表現方法が実にはまった作品だと思った。薬物をしているときはアニメーションの線もグニャグニャしてわかりやすい。ストーリーは主人公をはじめ、ほとんどの人間が薬物をしているので、妄想や幻覚が出始め、言っていることがコロコロ変わるので集中して観ていないとすぐに置いていかれてしまう。薬物中毒者の表現方法でこれほど成功している例は珍しいんじゃないか。CGでは感じてしまう違和感が全くなく、しかし人間が演じているので体の動きはスムーズで、関心させられた。本当にこの監督は斬新な表現方法を次々作っていくな、と思う。その割りにはイマイチ目立っていなくて不思議だ。「6歳のボクが、大人になるまで」で作品に見合った評価を得られることを期待したい。
