ここからエルヴィス映画は低予算早撮りになったと言われていて、確かにセットの見栄えは落ちたが、出来は言われるほど悪くない。
スモーキー山脈のてっぺんに空軍がミサイル基地を作るというので、土地所有者の親戚筋に当たる将校エルヴィスが交渉に派遣されるというお話。相手が国って何？国防？ミサイルって美味いの？な山の人たちだから交渉が成り立たず、しかもヒルビリー美女軍団が野生児のごとくそこかしこに棲んでいて、若い兵隊さんたちをセックス目当てで急襲してくる。
一家の長がアーサー・オコンネルで分かるように、『夢の渚』姉妹編的なナンセンス系エルヴィス映画で、山奥がビキニ姿のヒルビリー美女で溢れるくだりなどバカバカしさに呆れ返る。ただし兵隊さんの話なのでラストがいささか体制寄りで煮えきらず、『夢の渚』のようなアナーキーな痛快さには到達できなかった。エルヴィスそっくりの従兄弟がいる一人二役も取ってつけたようだ。
監督のジーン・ネルソンは『二人でお茶を』『オクラホマ！』のスタアさん。短期撮影にしては健闘と言える。お母さん役のグレンダ・ファレルに一曲ブルースを歌わせていて、これだけでネルソン褒めてあげて良いのではないか。翌年の『ハレム万才』より遥かに真面目で良い仕事だ。
ロカビリー王エルヴィスによるヒルビリー賛歌として興味深い内容になっている。

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