三隅炎雄さんの映画レビュー・感想・評価

三隅炎雄

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ゴジラ対メガロ(1973年製作の映画)

3.8

福田純監督が撮った子供向けゴジラ映画はどれも愉快ですが、これはあまりの低予算押し付け仕事にやけっぱちになった末にメキシコのプロレス映画に限りなく接近したゴジラ映画中とびきりの怪作で、見るとワケがわから>>続きを読む

浮気の季節(1959年製作の映画)

3.7

益田喜頓とその娘三人(吉行和子・中原早苗・沢村みつ子)が繰り広げるラブコメディの佳作。中平・市川・川島のような尖った作風とは反対の、善良穏やかでふんわり上品な語り口が心地よい。決して切れ味の良い演出と>>続きを読む

姿なき追跡者(1962年製作の映画)

2.8

暴力組織の内紛を抱える地方都市に、二人の用心棒が売り込みに現れる。彼らにはそれぞれ別の思惑があった。
二谷英明と郷鍈治なので、思惑と正体がだいたい察しがついて先が読めてしまうし、細部の楽しみにも乏しく
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摩天楼の男(1960年製作の映画)

4.7

野村孝監督、二谷英明主演。ダム建設現場を舞台に労働者と工事を妨害する暴力団との闘いを描く。まるで山本薩夫の映画を日活アクション映画の形式に落とし込み読み直したような異色作で、労働者の誇りと連帯、不屈の>>続きを読む

拳銃横丁(1961年製作の映画)

4.0

麻薬ギャング団のボス菅井一郎は小沢栄太郎の中国系ギャング団との抗争の中、助っ人に神戸から拳銃使いの二谷英明を呼び寄せる。二谷の正体は勿論あれで、まあプロットはよくあるものだが、随所に小技を効かせた長谷>>続きを読む

殺るかやられるか(1966年製作の映画)

3.7

高橋英樹・芦川いづみの日活アクション。これは野村監督かなり気合を入れて撮っている。所謂ムード・アクションなので最後の詰めがどうしても甘くなるのが残念だが、細部に常に工夫が凝らされていて演出家の集中が途>>続きを読む

出世子守唄(1967年製作の映画)

4.0

千葉真一✕真田広之「浪曲子守唄」シリーズ三作目(最終作)。役名は同じだが、続きものだった前二作とは別の話、仕切り直しの物語になっている。前のは千葉ちゃんがムショで心を入れ替えたせいで至極ありきたりな任>>続きを読む

陸軍諜報33(1968年製作の映画)

1.9

陸軍中野学校を題材とした千葉真一の諜報アクション。拉致スカウトから訓練そして海外での特殊作戦までが現実味ゼロの雑さで安っぽく描かれている。低予算白黒、北ボルネオの石油基地アクション部分も完全日本撮影で>>続きを読む

やくざ対Gメン 囮(1973年製作の映画)

3.0

マトリの潜入捜査官梅宮辰夫とヤクを捌くやくざ松方弘樹の絆を描く。原作は飯干晃一。『仁義なき戦い』ヒットでそれいけやれいけと慌ただしく作られたのだろう、麻薬組織の描き方に生々しさや新しさがあるわけでもな>>続きを読む

産業スパイ(1968年製作の映画)

2.8

八木正生クァルテットの音楽に東映らしからぬ洒落たタイトルデザイン。東映版黒シリーズかと思って見たが、どちらかというと梅宮自身の『わが恐喝の人生』と夜の青春シリーズをあわせた感じか。うまいメシ高い酒はく>>続きを読む

悪名高きろくでなし(1963年製作の映画)

3.9

宍戸錠そっくりの食い詰めトップ屋竜巻丈次(宍戸錠)が偽札事件に巻き込まれるスラップスティックな無国籍アクション。シリーズ次作の『赤い靴とろくでなし』には完成度で劣るが、全編アクションしながら移動続ける>>続きを読む

続浪曲子守唄(1967年製作の映画)

2.9

シリーズ2作目。カラーになってセットもそれなりになった。ただ、千葉真一がムショで心を入れ替えてダメ親父を卒業してしまったので、1作目にあった批評性が消え、至ってありきたりな着流し任侠映画になってしまっ>>続きを読む

浪曲子守唄(1966年製作の映画)

3.8

千葉真一の着流し任侠映画シリーズ第1作。健さんにも子連れ任侠映画(『日本侠客伝 斬り込み』67)があったけれど、あれより一年早く中身も異色。これはちょっと変わった作りの映画だ。

千葉ちゃんが演じる主
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空港の魔女(1959年製作の映画)

1.8

カクテル・グラス手にキザな台詞で久保菜穂子くどいたりするんで...これはやはり健さんでなく天知茂とか田宮二郎みたいなもっと都会的な感覚のアウトローがやってちょうどじゃないかしらん。同時代の東映だと誰だ>>続きを読む

万年太郎と姐御社員(1961年製作の映画)

3.5

高倉健の太郎シリーズ4作目(最終作)。源氏鶏太原作に戻って、主人公は万年[胸毛]太郎に。舞台は北海道、月形龍之介ゲストで、西部劇+水戸黄門、更に更に健さん『森と湖のまつり』がからむ。いきなり、あなたも>>続きを読む

天下の快男児 万年太郎(1960年製作の映画)

3.8

高倉健主演のサラリーマン喜劇、太郎シリーズ1作目。源氏鶏太原作。アクション度強く、健さんのキャラは後の『網走番外地』シリーズと変わらないとっぽいあんちゃんだから、サラリーマンものと言ってもすんなり楽し>>続きを読む

天下の快男児 突進太郎(1960年製作の映画)

3.2

『万年太郎』に続く高倉健の太郎シリーズ2作目。源氏鶏太から離れた棚田吾郎のオリジナル脚本で、田舎から出てきた健さんが女性下着メーカーに就職して活躍する。久保菜穂子や岡田眞澄を話の中心に組み、見た目もお>>続きを読む

天下の快男児 旋風太郎(1961年製作の映画)

3.8

高倉健の太郎シリーズ3作目。脚本は1作目の舟橋和郎に戻った。オリジナル。これは船乗りになった健さんが日活小林旭「渡り鳥」シリーズのフォーマットの中で、海運会社のためにサラリーマン喜劇的な活躍も見せつつ>>続きを読む

がんこ親父と江戸っ子社員(1962年製作の映画)

2.2

有名割烹の頑固おやじ進藤英太郎と跡継ぎを拒否してサラリーマンになった長男中村嘉葎雄、二人の対立を軸としたホーム・コメディ。監督渡辺祐介、脚本瀬川昌治・渡辺祐介、『次郎長社長と石松社員』シリーズのスタッ>>続きを読む

次郎長社長と石松社員 安来ぶし道中(1963年製作の映画)

1.4

監督が瀬川昌治に戻っての6作目。会社が下着メーカーから旅行会社に変わり、進藤英太郎も妻に先立たれて長い独身生活に悶々の設定となった。話は進藤の芸者相手の婚活下半身ネタと中村の子供相手のお涙頂戴ネタの二>>続きを読む

次郎長社長と石松社員 威風堂々(1962年製作の映画)

1.7

監督が渡辺祐介に変わってのシリーズ5作目。シミロンパンティ進藤英太郎は、ハワイのウクレレパンティ榎本健一と組んで海外販路拡大したいのだが、幼馴染榎本とは会えば喧嘩の面倒臭い仲でもあって、契約がままなら>>続きを読む

石松社員は男でござる(1961年製作の映画)

3.8

監督が飯塚増一に変わった進藤の社長シリーズ4作目。女性下着メーカーのワンマン社長進藤英太郎の娘小林千登勢が外国から帰ってきて、おむつ専門の洗濯屋を始める。監視役を任された石松社員中村嘉葎雄は、男中心の>>続きを読む

進藤の社長シリーズ 次郎長社長よさこい道中(1961年製作の映画)

2.0

渡辺邦男が撮った『続次郎長社長と石松社員』に続く「進藤の社長」シリーズ3作目。前作から進藤英太郎が前に出るようになり、今回はさらに石松の名前はどこへやら中村嘉葎雄がありきたりなサラリーマンになって、完>>続きを読む

喜劇 誘惑旅行(1972年製作の映画)

1.3

フィリピンロケ。フランキー一人二役。始まってすぐに安倍律子に1曲歌わせてタイアップ処理の適当な構成、真面目に取り組んでないので面白いわけがない。しかしこれはひどい映画だな。佐藤允も何のために使ったのか>>続きを読む

喜劇 初詣列車(1968年製作の映画)

3.8

これは瀬川監督のナンセンス趣味が割合よく出た佳作。話はあってないようなもので、渥美清が前衛画家の素材になったり前衛音楽グループの一員になったりフーテン族に潜入してハイミナールでラリったりをアハハと笑っ>>続きを読む

喜劇 急行列車(1967年製作の映画)

4.0

シリーズ1作目。寝台列車の人間模様快テンポで面白く、鉄道愛に溢れ旅情もしっかりある。最後は渥美清と楠トシエの夫婦が互いを労働者として尊敬し合う感動へ。きちんと労働者の映画になっているのが好ましく、瀬川>>続きを読む

進藤の社長シリーズ 次郎長社長と石松社員(1961年製作の映画)

3.5

瀬川昌治監督三作目。女性下着メーカーの次郎長社長進藤英太郎が三流大卒石松社員中村嘉葎雄の協力を得て、お家騒動を解決する。ワンマン社長とダメ社員の交流は瀬川自身の『喜劇競馬必勝法』の進藤英太郎と谷啓、そ>>続きを読む

ぽんこつ(1960年製作の映画)

3.3


瀬川昌治監督デビュー作。交通問題の卒論に取り組む大学生佐久間良子と自動車スクラップ工場に勤める江原真二郎のラブコメ。自動車を使ったサイレント喜劇調のドタバタがはじめの方にあって、もうここでこういうの
>>続きを読む

人生劇場 新・飛車角(1964年製作の映画)

4.8

シリーズ三作目、任侠映画初登板笠原和夫の、時代設定を終戦後間もなくに移したオリジナル脚本。鶴田浩二と佐久間良子の組み合わせは一緒でも単独の物語で、メロドラマ部分を引き継ぎつつ、より任侠映画色を押し出し>>続きを読む

密告(たれこみ)(1968年製作の映画)

3.8

安藤昇の和製ノワール。瀬川前年の『暗黒街シリーズ 荒っぽいのは御免だぜ』は実験的で奇っ怪なノワールだったが、こちらはきっちりジャンルの枠内に収めた仕上がり。ただ砂利集積場で突如始まるダンプカー軍団との>>続きを読む

昭和最大の顔役(1966年製作の映画)

4.0

建設会社を経営する企業舎弟の鶴田浩二が国際空港建設をめぐって伊藤雄之助率いる暴力組織と対決する。現代物といっても深作なんかのリアルなものではなく、筋自体は典型的な着流し任侠映画で、じゃあ現代で古風な話>>続きを読む

望郷と掟(1966年製作の映画)

3.3

安藤昇松竹時代のひとつ(主演3作目)。安藤をリーダーにした五人組が中国系密輸組織から金の延棒を強奪する。前半はハードなタッチの松竹離れした面白さだが、残念ながら脚本が致命的で後半急速に萎む。強奪後どう>>続きを読む

炎と掟(1966年製作の映画)

3.0

安藤昇松竹時代の一本(主演4作目)。日活ムードアクションな展開が最後は東映ギャング映画に。シャープな編集のえらくスピーディーな展開だが、細部にチープさ、駄菓子感がつきまとってカッコよくなり切れない。お>>続きを読む

博徒外人部隊(1971年製作の映画)

3.4

一から出直しだと闇市の風景を求めて沖縄へ。そこに因縁の暴力団が追うように本土からやって来る。深作欣二はこれまでもとにかくかっこよく撮りたいのが先に立って、自分が設定した主題を見失っている。幻想求めて琉>>続きを読む

博徒仁義 盃(1970年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

菅原文太・若山富三郎共演の異色着流し任侠映画。軍部の御用達でいろいろ儲けようとヤクザたちが集って愛国団体を結成、何かと物入りになるのを吉原の遊郭から搾り取って補おうとする。戦争と女たちの搾取がひと続き>>続きを読む

悪親分対代貸(1971年製作の映画)

3.2

土方稼業がどんなに汗水垂らして頑張っても、美味しい仕事は全部やくざがさらっていく。ならばあらゆる非道な手を使ってのし上がり、カネと権力を掴んでやるわいと行動を起こした親子、父が遠藤辰雄、子が若山富三郎>>続きを読む