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おかえりのMypageのレビュー・感想・評価

おかえり(1996年製作の映画)
3.9
整った
絶妙な
「おかえり」を言うか言わないかくらいの些細な変化、あるいはちょっとした気遣い。
寺島進さんの優しさと上島美穂さんの危うさ。
それを抑制の効いたローアングルのカメラで静かに追っていき、窓から見下ろした通りの風景、寺島進が寝転んだソファ、ドアの開閉などが繰り返され積み重なっていくとき、その優しさと危うさが観客の中で一体化していき、日常という空間の不穏な空気が静かに暴かれていく。
シンプルな2人の男女による、シンプルな構成の映画。
ジャンヌディエルマンとか、やさしい女を連想する。

「月光」以外の劇伴と呼べる音楽はほとんど鳴っていないけど、フィルムのぷつぷつという音や、ところどころに差し込まれる環境音、学校のチャイムだったり、救急車のサイレンだったりが、さりげなく画面に空間を与えている。
音の精度が高ければ、必要以上に画面に情報を並べ立てる必要がない。
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