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ヒートのNHのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
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悪党と警官を鏡像関係として描く際に、共通項としてダンディズムを持ち込んでいるが、このダンディズムにノレなかった。時代も大いにあるのだろうが、それでもこの男女観は好きになれないなと感じた。女性もかっこよくは撮っているが、昨今のフェミに耐えうるものではないと思った。この批判は時代遡行的なのかもしれないが、男女自体は人類誕生前からあるのに対し、たかだか30年で耐用できないものが普遍的な男女観を出せている傑作とは言い難いのではないか。この作品で男女観は大事ではないと思う人もいるかもしれないが、少なくとも男臭い話にそれぞれのパートナーの女性を積極的に活躍させているのだから、この作品においては重要なことだと僕は思う。
また悪者に対して、ある種の肩入れがあるような描き方は、昨今では中々見られないので、その点は昔の作品の良さだと感じる(それがダンディズムなのだが)。しかし一方でその倫理観が受け入れづらいという、アンビバレントな感想を抱いた。フィクションの倫理観って難しい。本作を参考にしたという「ダークナイト」(僕は結構苦手)の倫理観はどうしても好きになれないので、それに比べたらマシではあるが。
ほかに「ダークナイト」よりも優れた点として、「ダークナイト」ではひたすらジョーカーがバカの一つ覚えみたいに「買収して人質にして脅した」と嘘くさい戦略を使っていたが、こちらの方が説得力のある話展開になっていたと思う。
銃撃戦は良かったと思う。人物の位置関係がもっと明瞭だとより良かったが、渾身のシーンがBGM無しで映し出されるのはとても良い。
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