贅肉

ヒートの贅肉のレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.0
孤独な人間の言う「寂しくない」はただの強がり。本当は寂しくてどうしようもないのだけど他者と上手く繋がれないから仕方なく孤独でいる。空(から)を埋める何かと引き換えに確実に死へと接近していくニール、銀行強盗の後、恋人に会いにいく頃には半分死人。そこから空港にてハナと決着を付けるまで、リアルタイムで死にゆく人間を追ってゆき、観客とじっくり死の時間を共有させる生々しさにドギマギした。異様な疾走感で三時間駆け巡るマイケル・マンのキチガイじみたフィルム、「マイアミ・バイス」も「ブラックハット」も何から何までヤバい。

追記
他者から理解されない他者を理解できない都会に生きる人々の孤独。唯一理解し合えたかもしれない2人は最終的に片方が消滅し片方が取り残される。存在が寄り過ぎてしまったがためなのか…。孤独な者が孤独なまま終わる虚しさがある。燃え盛るような銃撃戦を経て「映画」から熱が一旦引いた後に連続する各人物の別れ、これもまたドラマティックで良いのよ。画面越しだったり、ハンドサインだったり、言葉を一切介さないのは魂の作家マイケル・マンらしい演出。魂の鼓動を感じよう。ホテル→エアポートの決着に向け「映画」に再び熱がこもっていくのももちろん最&高。
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