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クリクリのいた夏のleylaのレビュー・感想・評価

クリクリのいた夏(1999年製作の映画)
4.4
なんて優しいんだろう。
本当の豊かさとは?を教えてもらった気がする。

1930年代ということもあるし、片田舎ということもあるだろう。
思いやりの心とほんの少しのお金があれば、人は豊かに暮らしていけるんじゃないかと思わせてくれる、心洗われる作品だった。

春にはすずらんを摘み
記念日には歌を唄い
雨の翌日にはエスカルゴを獲り
沼ではカエル釣りをして
日銭を稼ぐ。

沼地の豊かな自然を生きる糧とした、ささやかな暮らし。
人と人とのつながりや温かさ。
自然いっぱいの風景が美しい✨

戦争から復員して沼地に住み始めたガリス(ジャック・ガンブラン)、隣に住むダメダメだけど憎めないリトン、昔は沼地に住み今は裕福な老人ぺぺ、裕福で人が苦手なアメデ。彼らの交流が描かれる。

クリクリは、ダメ男リトンの娘。素朴でとっても可愛い。
老人になったクリクリが沼地での暮らしを懐古し、語りながら物語は展開していきます。

「恋ってうれしくて、かなしいの?」クリクリの淡い恋に胸きゅん💓

「お前が友達でうれしいよ」とリトンをぎゅっとするガリスにきゅん💓

手作りのカエルの置物にきゅん💓

きゅんきゅんするシーンがたくさんで涙がこぼれる。
もうあの沼地はないと思うと「スタンド・バイ・ミー」のようなノスタルジーに襲われました。

ガリスの人柄の素晴らしさが物語の核となっている。「貧乏だけどプライドはある。施しを受けたら貧乏人以下になる」と胸を張るガリスがカッコいい。

サッカー選手だったエリック・カントナが荒っぽいボクサーとして登場。彼はケン・ローチ監督のコメディでも出てました。

監督はジャック・ベッケルの息子のジャン・ベッケル。原題は「沼地の子供たち」。邦題はちょっと違うかな。

折りに触れて観たくなる素敵な作品でした。
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