無差別イイネは咒殺

天然コケッコーの無差別イイネは咒殺のレビュー・感想・評価

天然コケッコー(2007年製作の映画)
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あなたもわたしもみんな、日々の日常は永遠のようで、実は儚い終わりあるもの。

山下敦弘監督の作品は、とにかく日常感が物凄い。

そして今作に至っては、海で子供が遊んでいるシーンを見て、もはや現実の記録、ドキュメンタリーに近いとすら思った。

なんでこんなにいいシーンが撮れるのか。

舞台や小道具の、なんとも形容できない染み付いた日常感というか、映像的色の無さというか、登場人物たちにとってはうんざりするような日常臭は、映画を通して見るとなぜこんなにも快感なのか。

日常は、素晴らしい。

生きている自分からしたらうんざりで退屈だけど、実は日常は永遠ではなくて、物凄いスピードで時間は進んでいて、振り返れば映画の2時間とかと変わんないくらい短い想い出になっている。

今作は田舎の学生たちの日常を、映画史に残るほどに丁寧に描く。

特に大筋はなく、日常のエピソードが羅列されていく。

最年少の女の子が「ジュース屋さんごっこ」をしている何気無い場面で、この日常の儚さに、なぜか胸がギュッとつかまれた。

夕暮れや夏休み感とかノスタルジックさとかが鬼殺しにかかってくる感じとか、夏帆さんが死ぬほど美少女なとことか、中2の主人公にガチ恋してるめんどくさい郵便局員のお兄さんをクラスメイトがくっつけようとした大泣きしちゃうエピソードがおかしかったりとか、映画の純粋な見所を挙げだしたらキリがないんだけど、とにかく日常がこれ以上なく愛おしい。

明日も日常を大切に生きよう。