FukiIkeda

レセ・パセ 自由への通行許可証のFukiIkedaのレビュー・感想・評価

3.4
戦時中のフランス映画界を描いた作品。
同じ時期のイギリスにおいての映画人を描いた作品「人生はシネマティック」とは対照的に、混沌とした重たい空気や緊張感が漂う。
ドイツ統治下にあるフランスで抑圧された中で、ドイツ資本の映画会社で雇われながら、レジスタンス活動をする助監督のジャン・ドヴェーヴルと、脚本家のジャン・オーランシュを中心に巻き起こる、様々な難関。自分の信条とアーティスト性と生きるという選択肢の狭間で日々、葛藤するが、やむを得なくとった選択、良かれと思った選択も、同胞には理解し難いものだったり…。そんな中で連行されていく同胞やユダヤ人の同僚たち…。
それでも映画というものに向き合う姿勢は真っ直ぐで。
予算だけでなく、日々飲み食いするものがない中で試行錯誤しながら納得のいくものをと一つ一つのシーンを丁寧に撮っていくアーティスト性。
演技力よりもSNSのフォロワー重視、イケメン出ないと予算がおりない今の日本の映画業界では人が育たないのは然り、予算がない事を理由に、仕方ないが口癖で自分は努力もせず口だけで努力は人任せ、感謝もリスペクトもせず、センスも磨こうとしないどこかの誰かさんに観せてあげたい。
画面に入る全てのもの、入りきらない見えない聞こえない余韻さえも作品と思って撮れている最近の日本映画は本当に少ないなとつくづく思う…。
FukiIkeda

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