みぜ

「A」のみぜのレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
4.0
ピュアで頭の良い人達が、麻原彰晃という人間に洗脳され、その宗教に傾倒し、犯罪に手を染めてしまった事実。
ドキュメンタリーなので、当たり前に実名で皆んな出ており、今も尚オウム信者じゃなかったら微妙だよなぁ…と思ってググると未だに教団関係者という恐るべき事実。

信仰の自由があるから、新興宗教とはいえ全てを否定するわけではないが、wikiを見るだけでも麻原彰晃はなかなかの人…。
信者には様々な欲求を禁じていたのに本人は愛人100人とな…。矛盾。

小さい頃にテレビで見ていた記憶との擦り合わせとなるドキュメンタリー。

森達也氏は、オウムを悪として描こうとせず、どちらに傾くことなくフラットに撮影しているところが素晴らしい…。それゆえ会社を解雇されたらしいが。
そしてオウムの信者の皆さんに受け入れられているが故に出来る物理的に踏み込んだ取材。
精神的なところでは、土足で踏み入らないから信者側としても心を開けたんだろうな。。

日本のメディアって何なんだろう。
ニュースだけでは伝わらない事実。

謎にA2から見てしまったため、振り返りのA。

30年後、荒木さんは何してるんでしょうね?と森氏に尋ねられているシーンがあったが、ほぼ30年後の今、荒木さんはまだAlephにいるんだよなぁ。

そして28歳当時の荒木さん、母性をくすぐる可愛さがある人なのよね。
ドキュメンタリーに出てくる一般の方で、教団は抜きにして、個人的に荒木さんを応援していると言っている方もいたくらい。

森氏もインタビューで書いていたが、一般的な基準よりも善良で純真で優しい人が信者には多かったとのこと。

当時、私たちはメディアによりプロパガンダされ、一つの方面でしか彼らを見れていなかったのかもしれない。
とはいえ、傾倒し盲目になることは恐ろしいことでもある。忘れてはいけない。

サリン事件についてもググったが、若い方から92歳のおじいさんまで亡くなっていた事実を知る。当時のニュースで、電車が好きで乗っていたおじいさんが亡くなったと報道されていた事を思い出す…。
都内で暮らす今、何も考えずに乗っている地下鉄で残虐な事件が起きていた事実について改めて調べようと思う。
みぜ

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