垂直落下式サミング

ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎完結篇の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
主役二人が、そろそろ年齢的に無理がある風体になってきたので(つーか、どいつもこいつも高校生に見えないが…)ここいらで最終作と相成りました高校与太郎一代叙事詩。
冒頭、鑑別所行きを免れて、留置されていた警察署からシャバに出てくるヒロシ。出迎えるトオルと舎弟たち。完結編と銘打たれているのが名残惜しい。いいシリーズだったなぁ。
デブちん均ちゃんが、聴き取りやすい声で台詞をスラスラと言っているだけで、思えば遠くまで連れて来られてしまったなぁ~と、感慨深い気持ちになってしまった。と思ったら、よく見りゃあ俳優が違うじゃねーか。この人は、三代目?配役はメインも端役も、変わりすぎていてよくわからない。
今回の相手は立花商業。前作で、北高との抗争には我関せずの立場で芋引いたキクリンへの欠席裁判。ミノルちゃんは友達を助けるために検挙までされたのに…、シャバくせえなあキクリン、しゃべえ、しゃべえ。
後輩たちの小さな揉め事を発端として、報復の連鎖がやがて番長同士の戦いにまで発展してしまうところは前作と同じだが、ヒロシが戻ったことで展開のシリアスさが緩和。ケンカの合間に、モテるモテないのおはなしで駄弁ってる男子たちの映像が挟み込まれて、突発的暴力に硬直しがちな場を和ませている。
ロンリーガイ卒業したヒロシが、純喫茶でみんなにことの顛末を語りはじめるところ。映像的なユーモアが溢れていて、大好き!チンピラの駄弁りとラブホの回想とを行き来するワンカット!くだらなくて最高。
最終作だけあって、最終決戦には過去作のヴィランオールスターズが駆けつける。前川、ミノル、柴田、西、工藤、素晴らしいボスラッシュ!他のやつらに思い入れがあるのはともかくとして、五作目でズルっ賢く立ち回っていた工藤だけはめっちゃ嫌いだったのに、バナナを頬張りながら駆けつけてきたのに、前蹴りをうけてスケートリンクですっ転ぶ姿が可愛いらしくて、けっこう良くみえてきちゃった。
最後に、シリーズ通しての記録映像としての価値について言及しておきたい。平成生まれのシャバくせえガキにとっては、この頃の街並みや風景などが物珍しくて、それをみているだけでもわりに楽しめた。
昭和は遠くなりにけり。当時の都市部の映像はいくつもみたことがあるが、地方の風景は価値がないとみなされているのか、昭和末期のザラつきを映像としてはあまりみることができない。
ギリ持ちこたえている小汚ない商店街や、レトロみあふれる喫茶店、街角を曲がれば潰れた銭湯や遊戯施設の廃墟に行き着き、繁華街は目に悪そうな渇いた光を放つ。もはや日本に存在しなくなった風情。みたことない世界をみせてくれる映画は、古びてからも別の味が出る。
イッキ観でしたけど、ホントにいいシリーズでした。もっと積極的に、旧作にもアンテナはってディグるべきですね。観る前は、こんなに気に入るなんて想像だにしなかったのに、すっかりビーバップキッズだもん。ホントによかったなぁ…。
とりあえず、アメトーークのビーバップハイスクール芸人が予習として完璧だった。作品の面白がりかたとか、社会に与えた影響だとか、当時どう受け入れられていたのかとか、なにも知らないシャバ僧にも総括的で分かりやすく、マンガ紹介回としてはイチバンいい理想的な内容だったと思う。
ちなみに、そこで野性爆弾くっきーが紹介していた「的場浩司のパンケーキみたいな帽子」は、この完結編に出てきます。要チェックっ!