ジャッキーケン

ニキータのジャッキーケンのレビュー・感想・評価

ニキータ(1990年製作の映画)
3.9
リュックベッソンが「レオン」よりも前に描きたかった殺し屋「ニキータ」
「トランスポーター」のフランクマーティン
「96時間」のブライアンミルズ
「アルティメット」のダヴィッドベルとシリルラファエリなどアクション映画における様々なヒーローアイコンを作り出してきたベッソンの初期作にしては斬新な女性殺し屋「ニキータ」

ホームレス同然の薬物中毒者「ニキータ」が無期懲役と引き換えに殺し屋になれと宣告され殺し屋アカデミーでトレーニングを積み優秀な殺し屋ではあるが同時に落ち着きのなさが問題視されている完璧ではない女性殺し屋として描かれる
「ニキータ」は元々はごく平凡というかそれよりも平凡以下の女性で殺しの英才教育を受けてきたわけでもない一般人でプロフェッショナルと呼ばれる「レオン」とは全く正反対なキャラクターです。そんなニキータが命令に従い標的を震える手を抑えながら殺す。現実味を帯びたキャラクター、ただ任務に予想外なことが起きると焦って取り乱してしまうニキータを見てイラッと感じる人もいると思う。僕としてはこの焦り、不安を常に感じるニキータは親近感があって良いと思います。

どうしても比べてしまう「レオン」と「ニキータ」キャラクターももちろんそうですが映画としても比べてしまう、「レオン」はオールタイムベスト級に好きな映画なので「ニキータ」がそれを超える期待はしていませんでした。二つに共通して言えることは恋愛と殺し屋の描かれ方。レオンはちょっと特殊ですが愛を知らないレオンがマチルダと出会うことで愛を知って行く正しく純愛が後々の号泣に効いてきます。ニキータは大人の恋愛と言うべきで恋愛を描く場面ではガッツリ恋愛に舵を切っていてベニスで旅行するシーン、セックスするシーンなど殺し屋映画の影が薄まってしまってバランスが取れていない。極端に恋愛として描いてしまっている。

この映画は「レオン」を見ているなら間違いなくアガるポイントがあります。
まずはジャンレノが本作に登場すること。
役柄は別の殺し屋で性格とかも違いますがある意味クロスオーバーと言っていいでしょう。それにニキータの恋人の船の設計を手伝う仲間の名前が「レオン」と言われてるので「レオン」と「ニキータ」はベッソンユニバースを共有している作品であると断言できます。

惜しいなと思ったところはラストでなんかフワッとした終わり方だったのが残念でした。

今となっては女性の殺し屋、ヒーローは当たり前の時代になってきていますが90年代における女性ヒーローはスーパーパワーを持っていない普通の女性として描かれる傾向にあると思いましたね。
同じ90年代ならジャッキーブラウンやグロリアもいますしね。