まみこwith餅さま

めぐり逢う朝のまみこwith餅さまのレビュー・感想・評価

めぐり逢う朝(1991年製作の映画)
4.5
芸術としての音楽、さらに、音楽の存在理由について、哲学的な考察が語られる格調高い作品🇫🇷ですが、とにかく色々美しい!

風物が美しい!

人物が美しい!

音が美しい!

目と耳と心が浄められるような映画です。

ムズカシイ理屈抜きで、音楽つき絵画を見る感じで視聴するのもアリだと思います。

ストーリーは哀しいところもありますが、
少しだけ楽しいところや、
たくさんの想像の余地があります。
解釈はさまざま!


🎼✨ひとびとについて✨🎼

ヴィオールの師、サント・コロンブの妻への深い愛情や、音楽への真摯な向き合い方には感心するものの、父親としては充分とは言い難い。当時にすれば愛情深い方だったのでしょうけど…。

姉娘の悲劇には目を覆いたくなった。あんなに美しく輝いていたのに…!
(本当は満点にしたかったのですが、ここが辛過ぎて…)

妹娘は幸福そうでホッとしましたよ。
でも姉に付き添ってあげてほしかった気も…🥲

そして、問題の主人公マラン・マレ!!!
若き日の美しいこと!姉娘が心奪われるのも無理はない。赤い上着が似合う。
とはいえ、恩を仇で返すような仕打ちはひどすぎ!
最終的には師と和解?したものの、男の身勝手さが白粉塗って鬘つけているような醜悪さにゾッとしました。
実際には、世渡り上手の愛妻家だったのかもしれませんが、このオハナシでは完全に無節操な薄情男です。

マレを演じたのは、父子俳優。時の変化をあらわすのに最適な配役!

実在のマレは、才覚ある如才ない宮廷人であると同時に、斬新なクリエイターでもあったようです。実体験を題材にしたナレーション付きの楽曲、「膀胱結石手術図」など発想が突き抜けてる!


🎼✨風物について✨🎼

三人の静謐な暮らしぶりに見惚れる!

コロンブが、亡き妻に出逢えた机を描いてもらったという設定の、リュバン・ボージャン「巻菓子のある静物」
本当にステキな絵で、ルーブルに行ったら是非本物を見たい!
とりあえずは、ヨックモックのシガールを買ってきましょう。ちなみに、私はミルクティーでいただくのが好きです。✨😻✨

✨🫖✨🫖✨🫖✨

古楽器というものは、不思議な引力がありますね!画面で見るヴィオールの絵になることといったら!
棹の頭頂部に女神のような、天使のような顔が彫刻されていたり、まさに芸術品。
今でも、古楽器愛好家によるコンサートでは、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の演奏が聴けます。本当は狭い室内がいいそうですが、以前に近在で行われたホールでの演奏も雰囲気は味わえました。でも、やはり当時の風物に囲まれた演奏風景にはなんともいえない風雅さを感じます。
映画ならではの、タイムスリップ!

サントラはスペイン🇪🇸のジョルディ・サヴァール演奏、映画より先に聴いて、想像を膨らませていました。


✨🎼✨本について✨🎼✨

原作のパスカル・キニャール「めぐり逢う朝」もしくは「世界のすべての朝は」未読なので、少しづつ読みたいと思っています。

コルノー監督は、この作品の手引きとして、スタッフに谷崎翁の「陰翳礼讃」を読ませたそうで、なんだか嬉しい💕
バロックの古式ゆかしい世界と、純日本的感覚が通じているなんてステキだ✨😽✨

🫖✨🎼✨🎼✨🎼✨🫖

職人が織り上げた精緻なタペストリーを眺めるような、画面の隅々まで当時の陽射しが差しこんでいるような、見事な映画です。
原作者、監督、俳優、スタッフ、奏者、力を合わせた皆さんに感謝!至福の映画タイムでした💕💕💕💕💕


最近どうもフランス映画は合わないな、と感じていたのですが、いいものはいい!
制作国、関係ないですね!