BOB

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのBOBのレビュー・感想・評価

3.4
シリーズ屈指の名作と呼び声高い第17作。

「人生の後悔には二つあって、あの時こうすれば良かったというものと、何故あの時あんなことをしてしまったのだろうというもの。」

これはあまりハマらなかった。冷静に見ると良い話なのだろうが、寅さんのあまりの無神経さ無礼さ面倒臭さに腹が立ちっ放しでそれどころではなかった。寅さんのダメさを、強引に美談に仕立て上げているような印象すら抱いてしまった。

『男はつらいよ』の世界ではこれがお決まりであり、これで成立しているのだろうが、本作に関しては拗らせたガキのようにその場の感情に任せて喚き立てる寅さんは腹立たしかった。特に、青観に対して一方的に説教垂れるという無礼極まりない行為は許し難い。お前が一丁前に人情を語るなと叱りたくなる。そんな彼に対して、何やかんや温かく接するとらや一家の懐の深さには頭が下がる。家族とはそういうもの(だった)のか。

本作の主役は宇野重吉扮する日本画の大家・池ノ内青観。飲み屋で出会った図々しく見窄らしい"クソジジイ"が、実は超大物だったという話。この人が寺尾聰の父親だったとは初めて知った。

した後悔としなかった後悔の話が心に残る。あのシーンは味わい深かった。

オープニングの夢シークエンスは『ジョーズ』オマージュ。

笠智衆の「いかん、それはいかん。芸者か、いかん。」は可笑しくて、思わず笑ってしまう。

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