八咫烏

ペイルライダーの八咫烏のレビュー・感想・評価

ペイルライダー(1985年製作の映画)
3.5
名もなき流れ者のガンマン。一度死んで生き返る。町の悪党をやっつけ帰っていく。プロットは「荒野の用心棒」と全く同じ。

では、監督イーストウッドは何をしたかったのか。何が違うのか。
それは、主人公が、
神から送られた、天使なのか悪魔なのか。
実在するのか幽霊なのか。
善なのか悪なのか。
というどちらとも言い切れない主人公の性質の曖昧さ。それには、西部劇における二項対立の構造への批判があろう。

また、暴力に関しても、女性の「良いガンマンだろうが、人を殺すじゃない」(セリフを正確には覚えていないが)という、西部劇の前提として皆が”善なる”暴力を(おそらく)無意識的に認めていたことへの問いかけがあろう。


ふざけた演出の中に、マカロニ的に西部劇を茶化しながら、自省的に米西部劇を見つめ直す。
「許されざる者」での従来の米西部劇に対する批判が明示的に提示されるまでの過渡期的な映画なのだろう。
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