えいこ

日本のいちばん長い日のえいこのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.7
半藤一利の著作によって知った終戦の裏側。三船敏郎の阿南惟幾を見るべく観賞。脚本、俳優陣、重厚感ある作品。

知られざる史実への興味と、並行して進む事態の緊迫度合に、あっという間の2時間半。閣僚会議や内閣府のやりとり、御前会議の様子は、今日の様子からも想像できる。ただ、昔はもう少し気骨のある閣僚や肚の座った総理がいた。飄々としながらもブレない総理。若者の暴走を許さない軍の部隊長たち。

しかし、戦況の真実を知らない前線の兵士、国家上層部の決断先送りにより原爆の犠牲になる国民、終戦の日にも戦闘機で飛び立っていく若者たち…知らされないということは何と恐ろしいことだろう。男子の半分を特攻に出せば勝てる、本土決戦をすれば勝てる、今引けば死んでいった者たちが無駄死にになる、という軍上層部の発言に、引き返すこと、やめることの困難さを痛感する。そしてそれは今も同じ。

淡々と報告される死んでいった人々の数に愕然とする。その屍の上に戦後必死で国を再建した人々がいて今の平和がある。それは少しの油断で簡単に崩れていくことを忘れてはならない。
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