囚人13号

日本のいちばん長い日の囚人13号のレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.5
ポツダム宣言受諾から天皇の玉音放送に至る8月14日から15日午前までの24時間を描く。


シネマスコープ画面問題。これには外国の監督も苦しんでいたという事実は周知の通りだが、フォードの『長い灰色の線』然り軍映画はこれに適応しやすいように思える。横一列に並んだ軍服の兵士、画面全体を占領する飛び立つ瞬間の飛行機のダイナミックな機体(プロペラと扇風機のマッチカットが何気に冴えてる)等々…。

だがクローズアップはそう上手くいかず、人物を中央に配置していまうと頭が切れてしまい、顔全体が収まるまでカメラを引くと少々迫力に欠けてしまう。本作はそれを人物配置の工夫で解消しており、カメラは二人の人間を手前と奥の異なる立ち位置で捉え、こうした遠近法を利用して迫力と臨場感を描出しているのだが、これは中々良かった。

白熱の説得がいよいよ激化していくかと思いきや突如俯瞰に切り替わる瞬間、人間が何ともちっぽけに見えるショットも印象的。
他にも軍人が血眼になって叫ぶ場面が数え切れぬほどあるが、物語が進むにつれてそれが深刻になっていく者と滑稽になる者とに分かれるのは真意か意図せずかは不明だが見応えがある。

結果的にカメラの乾いた客観性が特攻隊に沸く飛行場の様子を現代人には見苦しいものとしているし、天皇陛下の異常な神格化にも違和感を覚える。
囚人13号

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