ハシオ

日本のいちばん長い日のハシオのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
3.5
本作は、半藤一利による日本のノンフィクション書籍を原作に、1967年(昭和42年)に公開された岡本喜八監督作品。
前から見たいな~と思っていたんですが、ちょうど終戦記念日だし見てみました。

内容としては、昭和天皇や鈴木貫太郎内閣の阿南陸軍大臣ら閣僚たちが御前会議において日本の降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日の正午からスタート。

日本が終戦へと向かう中で、昭和天皇による玉音放送のテープを奪おうとする一部の陸軍将校による“宮城事件”が勃発する。
この事件はどうなるのか、無事に玉音放送は流せるのか…という8月15日正午までの24時間を描いています。

冒頭から事件が発生するまでの1時間ちょっとは実際の映像やナレーション等が用いられるため、まるでドキュメンタリーを見ている気分になりましたが、テンポの良いカット割りでダレることもなく見ていられましたね。
特にタイトルが出てくるタイミングが絶妙で、今見ても滅茶苦茶カッコいいです。
とはいえ、基本的に室内での会話劇で淡々と進むので、少し飽きそうになりましたが、そこで陸軍将校による決起が発生!
突然のバイオレンスシーンや、キャラクターたちが汗をダラダラ流しながら目ん玉ひん剥いて叫ぶ姿は凄い緊迫感です。
特に佐々木武雄大尉を演じる天本英世が凄い…。
ほとんど何言っているかは分からないんですが鬼気迫り過ぎ…笑

また、若き将校である畑中健二少佐(黒沢年男)、井田正孝中佐(高橋悦史)のガムシャラ感も良かった。
彼らの暴走は看過できないが、「ここで戦争を止めたら犠牲者たちはどうなる!」という想いだけは共有できる。
それこそ『この世界の片隅で』で玉音放送を聞いたすずさんの怒りにも近いモノがあるのかもしれない。
『この世界の~』は民衆の、本作は軍人たちの気持ちを知るために二本一緒に見るのも面白いかもですね。

あと個人的に、岡本喜八の影響を受けていると言われる庵野秀明の『シン・ゴジラ』との共通点が発見できたのも面白かった◎(会議シーンのテンポの良さ、一瞬だけ映し出される映像(写真)、チラリと見える文庫本など…)
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