櫻イミト

ミイラ再生の櫻イミトのレビュー・感想・評価

ミイラ再生(1932年製作の映画)
3.5
ミイラ映画の始祖となったユニバーサル・ホラー。主演は前年の「フランケンシュタイン」で怪奇スターとなったポリス・カーロフ。監督は「メトロポリス」(1927) 「魔人ドラキュラ」(1931)等の撮影監督を務めたカール・フロイント。原題「The Mummy」。

1921年エジプト。大英博物館の遺跡調査団は古代の大祭司イムホテップのミイラを発掘した。しかしミイラは保管庫から消えてしまい、見張り番は発狂していた。10年後、同調査団のキャンプをエジプト人歴史家と名乗るベイ氏(ポリス・カーロフ)が訪れ、古代の王女の墓のありかを示す遺物を提供する。。。

ドイツ表現主義の流れを組む映像にロジカルなシナリオと、全体的にとても良く出来ていて楽しめた。ミイラのモンスターは登場しないのだが、1930年代ユニバーサルホラーとしては「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタイン」(1931)に次ぐ名作だと思う。

ドイツ屈指の名カメラマン、カール・フロイントが監督しただけあって映像の力がとても強い。ポリス・カーロフのホラー感たっぷりのアップをはじめ、エジプトの発掘現場や美術館の切り取り画角がどれも決まっていて、後の「ダヴィンチ・コード」(2006)に連なる考古学ミステリーの先駆的なムードを漂わせている。

脚本のジョン・L・バルダーストンはこれまでのチェックだったが、「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタイン」の原型プロットを書いた人物。初期ユニバーサル・モンスターの作品群や「古城の妖鬼」(1935)「ガス燈」(1944)の脚本チームに名を連ねている。

※「魔人ドラキュラ』でヴァン・ヘルシングを演じたエドワード・ヴァン・スローンが同様のオカルトの権威ミュラー博士として登場。
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