ちんねん

幸福(しあわせ)のちんねんのレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
3.9
いきなり引いていくカメラやテレビの画像であったかのように変色しながら転換するカットは少し怖いが、
初めのひまわりの交互の転換が一番不安を煽る。

60年代のフランス地方都市の風景、
2年前にヨーロッパの地方都市行った時の風景とさほど変わってなくてびっくり。
ただ人のパンを勝手に食ったり、外で胸をさらけ出したりするのは流石に今はないか。 

登場人物もゴダールとは対照的で労働者階級で、
どこにでもありそうな幸せと破綻を描く。
曜日によって起こる出来事を共有しているってのも庶民感あるなぁ。


いきなり引いていくカメラやテレビの画像であったかのように変色しながら転換するカットは少し怖いが、
初めのひまわりの交互の転換が一番不安を煽る。


「幸福の外観」を描く。
形式・スタイルが物語からある程度の独立をしている。
やけカラフルな空間、時に不自然な水色など。
ダンスからの裸体の明滅は形式的な美が際立つ素敵なシーン。

と思いきやラスト10分くらいで畳み掛けるように色の流れが合流してくるように、
モーツァルトのクラリネット五重奏曲とともに押し寄せてくる。
その勢いによって、習慣の力のようなものをラストのワンカットにおいて強い説得力を持って示されたように感じた。
短期的には習慣の長期的な力を知覚しづらい私にとっては、怖ささえ感じたラストであった。
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