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無宿 やどなしのbluetokyoのレビュー・感想・評価

無宿 やどなし(1974年製作の映画)
3.0
どうして当て書きで脚本を作らなかったんだろう。錚々たるキャストを揃えたのにこれでは、まったく生かされていない。とくに梶芽衣子さんの役は誰でもできる役である。梶芽衣子さんのちらりヌードシーンしかないのか。これではまったくの客寄せパンダでしかない。残念な作品だ。これだけのキャストが一堂に会することはもうないし。続・夕陽のガンマンみたいな三すくみ状態なんて面白かったかもしれない。
分類するのは野暮だけど敢えていえば、主人公が亡くなるので任侠実録ものか。でも時代が戦前だからなあ。その点は任侠ものか。

簡単にあらすじ。
刑務所の中で駒形玄造(勝新太郎さん)、穴吹錠吉(高倉健さん)が知りあう。出所の日も同じ。

駒形玄造は芝居小屋に行って坂東梅之丞に会いに行って、いまにいい暮らしをさせてやる、みたいに言う。

穴吹錠吉は、兄貴分の妻に会いに遊郭に行ったが自殺していた。たまたまその遊郭で会ったサキエ(梶芽衣子さん)が、自分を連れ出してくれと頼み込む。

たまたま、その遊郭に来た、駒形は穴吹と出会う。駒形の機転で、穴吹はサキエと遊郭を逃げ出す。

祭り見物をしているうちに、穴吹はサキエを置き去りにして行方をくらます。

たまたま、その祭りに来ていた駒形はサキエと出会う。駒形は、穴吹が潜水夫だったことを知り、バルチック艦隊の沈没船から宝を引き上げることを思い付く。

一方、穴吹は、兄貴分を殺した仙造を探すのだった。

バルチック艦隊の宝探しには穴吹の力が必要なので、駒形は仙造の名前で宿に泊まる。案の定、穴吹が現れた。駒形は、バルチック艦隊の宝探しの話をして協力してくれと誘うが、穴吹は聞く耳もたずに出て行く。

ひょんなことから、駒形は、仙造を知るのだが、仙造に穴吹のことを教える。穴吹も仙造を知るが、駒形は、穴吹に刑務所に行って欲しくないので、仙造を逃がしたというが、それでも、聞く耳もたない穴吹であった。

そんなことをやっているうちに、仙造の方から現れた。竹林の中で穴吹と仙造は決闘。穴吹は仙造を刺し殺す。だが、仙造は、殺しを頼んだのは親分だったと告げる。そこで、穴吹は、親分のところに行って、親分も刺し殺す。

一方、駒形は、ある伝手から船と潜水具を調達。日本海の海岸へ。そこに、穴吹も現れる。

駒形と穴吹は船で海へ出て、潜水にお宝さがし。浜辺にはサキエ(なんか存在感がまるでないので、いきなり裸で海に入って泳ぎ出す)。

そこへ、車でやくざものがやって来る。駒形は、おれに任せておけ、と言って、その車に近付いていく。

ここは、海軍の演習地で立ち入り禁止だ、と言って追い出そうとする。だが、やくざたちは、容赦なく駒形を射殺する。さらに、その後ろにいた穴吹も射殺する。

というわけであっけなく終わるわけだ。

冒険者たちのパクリらしいが、パクリにもなっていない。雰囲気はいい感じだし、勝新太郎さんの天才ぶりが楽しめるのだが、いかんせん、映画自体の企画があまりに安直過ぎて、とても残念な結果になってしまった。
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