あおみどろ

ゴジラのあおみどろのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.0
最新作公開に先立ち。

OPにて地を揺るがす足音と共に鳴り響くゴジラの咆哮。それは人類へ手向けた怒号なのか。或いは戦争を憂う慟哭なのか。心の臓まで鳴り響くその轟音は、どうにも負の感情が籠った叫び声に聞こえてならない。

続くゴジラの襲撃はまさに「恐怖」そのもの。踏み潰し吹き飛ばし焼き尽くし………ギョロりとした目と不規則な動きから成されるゴジラの一挙一動は、かつての戦争を想起させられる程に「怖い」。しかしそれもまた、人間の業に対する断罪なのだろうか………

「これが最後のゴジラだとは思えない」。戦争の名残が大きく残っていたあの時代だからこそ大きな意味を持つあの言葉。怪獣映画のマスターピースにして、悲哀に満ちた反戦映画でもある『ゴジラ』。後に怪獣と戦いヒーロー的存在となっていく彼だが、そのルーツは未来永劫決して忘れないでいきたい。人の手によって最期を迎えたゴジラ、そしてその身を以て「人の業」に1つの終止符を打った芹沢博士に、敬礼。
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