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阿修羅のごとくのleylaのレビュー・感想・評価

阿修羅のごとく(2003年製作の映画)
3.7
NHKのドラマ版が大好きでした。小説も読みました。NHK版は向田邦子の脚本の素晴らしさが堪能できる名作ドラマ。

不倫だらけのホームドラマです。この映画版では監督が森田芳光。
キャストは下記。左がドラマ版→右が今作。

長女:加藤治子→大竹しのぶ
次女:八千草薫→黒木瞳
三女:いしだあゆみ→深津絵里
四女:風吹ジュン→深田恭子
父:佐分利信→仲代達矢
母:大路三千緒→八千草薫

全体的に映画版は穏やかな感じで印象が薄味。

ドラマ版はまず音楽が強烈で、トルコの行進曲「ジェッディン・デデン」がいまだに頭から離れない。この曲を採用した和田勉のセンスが光ってます。

加藤治子をはじめとする四姉妹それぞれの個性も光ってたし、女たちが本性を隠しながらも、時に嫉妬心を露わにする姿は、まさに阿修羅だった。特に母役の大路三千緒さんがミニカーを壁に投げつけるシーンには度肝を抜かれました。

今作の母役、八千草薫さんは上品さが嫌味となるのがよかったけど、父役の仲代達也は大人しくてイケメンすぎる。不倫してても腹が立たないもの。小林薫が飄々としていい味わい。深津絵里が今の朝ドラと見た目がほぼ変わらないのに驚きました。

鏡開き、お正月、すき焼きの晩ごはん、白菜を漬けるなど、昭和の家庭の風景が何気ないけど効果的に描かれている。良質なホームドラマだなぁと思う。

名作ドラマが先にあり、どうしても比べてしまうのが残念なところ。チャレンジしたことが、もはや凄いことなのかも。

「女は阿修羅だねぇ」
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