駅から現れる一人の男。
七三分けにした、ごくありふれた見た目だが…
普段は小料理屋の主。
しかし、実は一流の殺し屋だった。
昔の作品だし、割とチープなのかと思ったら…
とんでもない!
アメリカンニューシネマやフランス映画の影響もあるのだろうか?
粋な演出が散りばめられている。
その中に、おさめられた当時の日本の空気。
伸びている国の勢いを感じさせつつも、まだ色濃く残る猥雑な街の雰囲気。
キレイなのもいいが、このいかがわしさも悪くない。
ロングショットとかアングルとか撮り方がかっこいいと思ったら、宮川一夫さんらしいですね。
なるほど、納得。
カメラマンでそんなに変わるんだって、いつも驚かされてしまう。
欲望に忠実に生きるタフな野川由美子。
コテコテのアバズレ感。
成瀬巳喜男の鋭さはありながらも、線の細さと三枚目感。
そして、初めて観ました真打ち市川雷蔵。
演技が上手いかはよく分からなかったのですが…
目の表情は流石の迫力。
本当の姿を見せる時の、放たれる冷たい光はまるで鞘から抜かれる日本刀のようだ。
ラストが、また秀逸。
昔の日本にもこんなノワール映画があったんですね。
貸してくれた方に感謝です^_^