PERSPECTIVE

ある殺し屋のPERSPECTIVEのレビュー・感想・評価

ある殺し屋(1967年製作の映画)
5.0
作られた年、寡黙な作り、静の中で映える動、超然的な殺し屋という主人公像ともに、フランス映画の「サムライ」と被っている。それだけならまだしも、主人公が銃を突きつけられているシーンなど構図が完全に一致している。今現在のような情報社会ならともかく、50年前にこのようなことが起こるとは面白いものである。しかしサムライが美の世界を極めていたのとは違い、今作は徹底して殺し屋というものの不気味さを台詞に過度に頼らず描いている。しかもこの徹底度は半端なものではなく、時代劇俳優に現代の殺し屋をやらせるという違和感、彼の超人的な言動、そして彼を利用しようとする人達の個性豊かさ、さらにそれをよりよく見せるために劇中の時系列をひねってしまうまでの手の込みよう(どこぞのクリストファーナントカ監督よりもはるかにひねり方がうまい)。こういった”静”はなかなか味わえない。
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