明治40年代…長井代助は、裕福な名家の次男坊。帝大を出ておきながら職にもつかず、毎日家に引きこもって読書に明け暮れている。そんな彼の元に、西で銀行員をしていた友人・平岡が退職して東京に戻ったと挨拶に現れた。平岡には代助の父が経営する会社に再就職したいという算段があり、それを察した代助は口利きを約束してやるのだった。
というわけで久々に実家へ顔を出した代助。父親から強引に見合いを勧められるが、のらりくらりと交わして逃げた。代助には、以前から想い人がいたのだ。それは平岡の妻・三千代。彼女は、代助の亡くなった親友・菅沼の妹だった。
「それから」
毎年恒例の命日鑑賞。森田監督も亡くなってちょうど10年でしたね。
優作さんは主演の代助役。温和で柔らかい物腰の裏に、ちょっと不気味さを孕んでいるのが優作さんらしい。書生役に羽賀研二ってのが微妙な時代感（笑）。森田監督らしいケレン味演出は抑え気味…でも電車内花火や優作さんのお座敷遊び、蕎麦屋の変な客などシュールさは独特。小林薫の台詞回しのツクリ具合も意図的か。梅林茂のスコアも印象に残り、藤谷美和子の儚く危ういヒロイン像も見事。森尾由美・川上麻衣子・美保純といった脇の女優陣も華やかです。
